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特集【青汁】 11年連続成長ならず、2%減の1,060億円

 健康産業新聞が今回、青汁製品の販売企業、受託企業、原料サプライヤーを対象に実施した取材およびアンケート調査より、2018年通期の青汁製品(グリーンスムージー含む)の市場規模を算出した結果、前年比98%の推計1,060億円(小売りベース)となり、11年連続の成長とはならなかった。2018年上半期の調査時点では、通年で数%の成長が見込まれていたが、下半期に入り動きが鈍化したもようだ。
背景には、2017年の市場を底上げしたフルーツ青汁のようなブーム品が2018年は見られなかった点や、大麦若葉の青汁が市場で飽和状態にある点なども考えられる。ただ今回の取材では、2018年6月にアフィリエイト広告を用いて健食販売を行っていたネット通販事業者に対する行政処分を機に、同様の手法を取っていたネット通販業者による業務の縮小や、今年1月1日より施行された中国のEC法「中華人民共和国電子商務報」の施行に伴う、越境EC事業者への規制強化――などの外的要因が市場にブレーキを掛けたというのが業界の見方だ。
実際、ドラッグストアなどで中国人ブローカーや観光客の一部が転売目的で大量購入していた商品の買い控えが始まっているようで、ドラッグストアでトップシェアの山本漢方製薬によると、「EC法施行前の昨年11月頃から中国人観光客による購買が落ち始めた」とのこと。また受託企業からは「アフィリエイトの規制強化で、OEM供給先のネット通販事業者の売上が落ち込んだ」との声も聞かれた。
最近の市場を見ると、大麦若葉100%の製品よりも、大麦若葉をベースに前述の桑葉や明日葉、クマ笹などを加えた青菜ミックス系、ユーグレナやクロレラ、スピルリナなどのスーパーフード系の製品が台頭している。また傾向としては、青汁製品に「野菜不足の解消」プラスαの機能性を付与することで差別化を図る動きが活発化。定番のトクホ青汁だけでなく、機能性表示食品の青汁・グリーンスムージーも約40品が受理されている。ほかにも乳酸菌やオリゴ糖を加えた整腸系、コラーゲンやヒアルロン酸等を加えた美容系の製品――など、複数の素材を組み合わせた青汁製品がトレンドとなっている。
ブリックパックやPETボトル入りの「毎日1杯の青汁」シリーズを展開する伊藤園、チルドカップ入りのグリーンスムージーを展開するローソンなど、従来の粉末タイプとは異なるアプリケーションで差別化に成功している企業も。伊藤園では2018年の青汁製品の売上高が前年比2ケタ増を達成した。
数多くの企業が凌ぎを削る通販ルートでは近年、企業間でのシェア争いが過熱、業績も明暗が分かれている。大手通販の中には、百貨店での試飲販売などへの積極的な参加や、「青汁カフェ」の開業など、新たな戦略で新規ユーザーを獲得し、現状を打開せんとする動きも見られる。

本記事は「健康産業新聞 1662号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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