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天塩、鈴木社長「付加価値戦略を加速、塩の用途開発に活路を見出したい」

塩とにがりのパイオニアである㈱天塩(東京都新宿区、03-3371-1521)は、1973年創業の老舗企業で、昨年創業45周年を迎えた。同社は、にがり成分を含んだ天塩、海洋深層水を原料とした天海の塩といった“こだわり商品”を提供している。このほか、食への理解を深める親子イベント「塩むすび」などを開催。適度な塩分摂取の大切さなどを発信している。同社代表取締役社長の鈴木恵氏に話を聞いた。

■近年の消費動向について
少子高齢化や食の多様化、女性の社会進出を背景に家庭の調理離れや個食化が進んでいる。塩市場は少容量化が進み、従来の増量提案では市場拡大は見込めない。近年の猛暑や台風は、野菜の不作・高騰、さらには消費者の外出控えを招き、景況感を下押しする要因といえる。こうしたなか、塩の消費量はますます減少傾向にある。付加価値を高めた“こだわり商品”の提案が、今後の市場形成にあたって必須となっていくだろう。

■“天塩”の原点は?
1970年代のイオン交換膜製塩法への転換は、国内から塩田を消し去った。市場には塩化ナトリウム成分99%以上の高純度塩のみが流通し、食卓用において高純度塩しか食することができなくなった。その後、高純度塩は身体に必要なミネラルバランスが崩れると疑問をもちはじめた学者や消費者が集まり、昔ながらの塩田でつくられた塩を求めた“自然塩普及運動”が始まり、今の天塩が開発された。にがり成分を含んだ天塩は、健康に良い塩として、消費者運動から生まれた“こだわりの塩”だ。

■守るべき“和食文化”
熱中症による低ナトリウムで倒れる人は近年、増加傾向にある。去年の猛暑においても、1 日あたり3,800人が病院に搬送されるほど深刻な事態だ。血液中のナトリウム濃度が基準値を下回る人が多いと警鐘を鳴らすdoctorもいる。“塩=不健康”なイメージを植えた厚労省推進の減塩運動は、こうした皮肉な結果を招いた。“塩分をただ減らすだけ”という発想はナンセンスだ。塩分摂取だけで高血圧になるのであれば、昔の人たちは高血圧を発症していたはず。正しい塩分摂取について、何かしらの施策を打ち出す必要がある。現代の日本人はマグネシウム不足も指摘されている。食の欧米化が進む昨今において、「野菜」「味噌汁」「魚」といった和食の摂取で解決できることも多い。欧米では和食文化への関心が高まっていると聞く。和食文化の保護・継承として親から子へ伝えるべき和食文化も、「和食文化国民会議」という啓蒙活動において、国を挙げて取り組むべきテーマだ。

■今後の展望は?
化粧品業界とのコラボは、食品以外の用途に広げることができる。たとえば、浴用剤原料や、サウナにおける塩マッサージ用の原料などだ。異業種参入も視野にした新たな用途開発の取り組みは、停滞する塩市場の再興につながるだろう。

本記事は「健康産業新聞 1664号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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