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特集【化粧品開発の最前線】―国内市場1兆7000億円超、拡大続く

国内の化粧品市場が好調だ。2018年の化粧品販売金額は1兆7000億円を超え、過去最高を更新。近年、中国を筆頭にアジア諸国における“Made in Japan”化粧品のニーズが高まっている。2016年には化粧品輸出額が輸入額を超え、2017年には輸出額が輸入額の1.5倍になるなど、日本製の優れた品質が海外市場で高い評価を得ている。これらの市況を反映し、化粧品産業技術展「CITE Japan」も過去最高規模に。東南アジアを中心に諸外国からの視察も予定されるなど、海外からの注目度も高く、Made in Japanコスメの発信とともに新たなトレンドとなる原料・製造技術の登場が期待される。

■化粧品販売金額、7年連続で成長

 経済産業省・生産動態統計によると、2018年1 ~12月の化粧品販売金額は、過去最高の1 兆7,255億円(前年比5.7%増)となり、2012年以降7 年連続で成長している。類別では、全体の約半分を占める「皮膚用化粧品」が8,503億5,880万円(同9.2%増)となり、洗顔クリーム・リフォームや美容液などが好調に推移している。全体の約3 分の1 となる「頭髪用化粧品」は4,144億4,210万円(同2.4%増)に。また、ファンデーションやリップクリーム、アイメークアップなどの「仕上用化粧品」は3,615億2,940万円(同2.6%増)、日焼け止め及び日やけ用化粧品を含む「特殊用途化粧品」は942億7,040億円(同2.0%増)、ほか「香水・オーデコロン」が49億4,790万円(同13.9%増)となるなど、全ての類別で前年比を上回った。化粧品市場が、国産品、輸入品ともに好調な背景には、中国をはじめアジア圏からの訪日外国人によるインバウンド需要や、それに伴う越境ECの増加などがある。ドラッグストアをみても、化粧品を含むビューティーケアの2018年度売上高は1 兆5,117億円(前年比5.6%増)と伸長(日本チェーンドラッグストア協会「2018年度版業界推計」)。百貨店においても、2018年の化粧品売上高は5,604億円(同9.3%増)、2 月単月でも春節商戦を中心にインバウンドも活況を取り戻した影響で、対前年同月比9.8%増(日本百貨店協会「平成31年2 月全国百貨店売上高概況」)と好調に推移。化粧品販売額は中国人をはじめとした外国人観光客による旺盛な購買力を背景に、外国人観光客の来日数に比例して、ここ数年、高いレベルでの成長を続けている。

■コラーゲン、プロテオなど健食に馴染み深い素材多数

 化粧品には、コラーゲンやヒアルロン酸、セラミド、プロテオグリカン、プラセンタ、機能性植物油など、健康食品に馴染み深い素材が多く、内外美容やインナービューティーなどの観点から、健康食品と化粧品を併売するケースも増えている。女性が化粧品を購入する際の留意点として、「自然派の化粧品を選ぶ」「使用前にサンプルを提供するところは信用している」「口コミサイトを必ずチェックする」「ドクターズコスメは信頼している」などの声がある。また、働く女性の時短ニーズを背景に、オールインワンコスメの人気も健在。ベースメイクなどメイクアップ全般で、操作性と簡便性を追求した“時短”の要求に応える製品が目立つ。美容液・UVケア等の機能をひとつにまとめたBB(Blemish Balm:ブラミッシュバーム)クリームや、CC(*カラーコンディション、コントロールカラー、コンプリートコレクションなどメーカーで解釈が異なる)クリームは、その手軽さとお買い得感から好調に推移。また、男性用育毛ケアをはじめ、ヘアケアやメイクアップが高齢者のメンタルケアで活躍する例も。医療施設等への訪問ケアの一環で、高齢者にメイクアップを行った結果、無口だった女性のコミュニケーションが活発となったり、無表情だった女性が笑顔になるといったケースがある。食事や運動と同様に、「見た目」をケアすることも、健康の重要なバロメーターのひとつといえる。化粧品は、製品の安全性や有用性、消費者への訴求方法、店販と通販、訪販における商品特性などが健康食品の事業展開と類似することから、新規参入する企業も多い。今年は、業界団体主催では国内最大の化粧品産業技術展「CITEJapan2019」が5月15日よりパシフィコ横浜で開幕。保湿・UVケア・美白・抗シワなど様々な化粧品原料に加え、受託製造、容器・包装、サービスなど化粧品を取り巻く主要化粧品メーカーの研究・技術者が最新動向を披露する。

本記事は「健康産業新聞 1665号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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