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連載【話題追跡】沖縄モズク、不作の年に。フコイダンの原料価格に影響は?

沖縄を代表する特産品として知られるモズク。今年は、日照不足、水温上昇などの理由から収穫量が大幅に減少している。収穫はまだ終えていないが、関係者によると今年の収穫量は昨年の6割程度になる見込みだという。県内外でモズクの需要が高まるなか、取引価格は約2倍に跳ね上がっている。モズクから抽出される沖縄モズク由来フコイダンも、原料サプライヤー各社が原料確保に向けた懸命な活動に取り組んでいるものの、「現状では供給量の調整が必要」「値上げ交渉をせざるを得ない」とひっ迫した状況で、市場への影響が懸念される。

■フコイダンの原材料であるモズクが昨年の豊作から一転、今年は不作に見舞われている
沖縄県では、年間収穫量の安定化を目的に数年前から、完熟モズクに加え、早摘モズクの生産も行っている。モズク収穫量は2014年から2017年の間は約1 万3,000tから約1 万8,000tで推移。昨年は11年振りの豊作で2 万トンを超える収穫量を達成した。一方、今年はここ数年の平均収穫量に及ばない状況に。今年1 月から3 月における早摘みモズクの収穫量が減少。4 月から6 月かけて収穫される完熟モズクも収穫量が伸び悩んでいる。天候不良による日照不足、海面温度の上昇などが要因になっているようだ。

沖縄県もずく養殖業振興協議会では「収穫場所(沖縄本島、離島)によっては、昨年並みの場所もあれば、大きく下回る場所もある」と話す。今月あたりまで収穫は続くが、「現在、集計中で何とも言えない」としたうえで、昨年の6割程度になる見込みだという。モズクは、県外向けの需要に加え、県内に訪れる観光客の増加に伴い、外食向け、お土産向けの需要も増加。原料価格は昨年、キロあたり200円半ばで取引されていたが、今年は約2 倍の400円台に上昇するなど高騰が続いている。

販売メーカーは、「海藻類の健康機能も知られるようになり出荷量は増えているが、去年の在庫はなく今年は先が読めない」「原料確保に駆け回っているものの、去年の半分程度しか確保できていない」など苦しい現状を訴える。小売業界に対して、「特売を控えてもらうよう要請している」「モズク加工品の値上げを実施した」などの声が複数社から聞かれた。

■モズクから抽出されるフコイダン原料にも影響も
フコイダンは国内のみならず、中国、香港、ベトナムなどアジアで人気を呼んでおり、供給量が増えている。しかし、ここ数年の人件費・燃料費の高騰も重なり、原料サプライヤーの自助努力では吸収できない段階に達している。金秀バイオ、ホクガンなど各社からは「本意ではないが、供給量の制限を検討している」「全ての注文に対応できる状況ではない」「今後の動向次第では値上げを否定できない」などの声が聞かれ、この状況はしばらく続くと予想される。

本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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