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連載【話題追跡】高成長続く薬系ルート、物流含むサプリメント提案に変革の兆し

ドラッグストアのサプリメント販売額が伸びている。主要ドラッグチェーン各社の9月単月の販売額は、概ね前年同月比2ケタ増。サプリメント販売額も伸びた。薬系ルートでは、卸・物流による新サービス、サプリ提案イベントなどさまざまな取り組みが進んでいる。

経産省「商業動態統計速報( 9 月分)」によると、ドラッグストアにおける健康食品の販売額は211億円(同17.2%増)で推移(1面参照)。主要各社の9 月の前年同月比(既存店ベース)は、ツルハ5.3%増(*15日付のため一部)、ウエルシア19.4%増、マツモトキヨシHD21.7%増、サンドラッグ29%増、コスモス16.5%増、スギHD23.3%増、ココカラファイン19.4%増など軒並み増加。

各社からは、「日用消耗品、医薬品、化粧品の順で伸びた」「2 ケタ増は間違いなく増税前の駆け込み需要」なの声が聞かれた。健康食品も2 ケタ増だったが、軽減税率の影響もあり、化粧品や日用品ほどの伸びはなかった。一方で「逆に10月以降の反動減でも健康食品販売額は変化しない」との見方が多い。

日用品や化粧品、医薬品とともに健康食品が伸びる薬系ルートでは、卸と物流の連携や、物流による越境EC、新物流センター構築、薬店による健康イベントなど、健康食品を提案する新サービス創出の動きがある。

アルフレッサ㈱とヤマト運輸㈱は9 月、共同開発の新サービス「調剤薬局向け在宅医療支援サービス」を発表。在庫スペースの少ない調剤薬局で、在庫を保有せずに在宅医療に必要な健康食品、医療・衛生材料、介護用品などを提供できるサービス。普段薬局で販売していない健康食品等の提案が可能になるという。

また、㈱PALTAC特別顧問の山岸十郎氏は、先ごろ都内で開催された「卸研フォーラム」に登壇し、新物流センターを紹介。自社で物流センターを持ち、カテゴリー別に在庫をコントロールする好例として、中国№2のECサイト「JD.com」を運営するジンドンや、米ウォルマートなどにも言及。

「日本は売場設計と物流がつながっていない」とし、食品や日用品などカテゴリー別の棚本数、補充コスト、発注コストなどから営業利益がどのくらい出るかを把握することの重要性を強調した。

このほか、伊藤忠ロジスティクス㈱は、中国で医薬品卸およびドラッグストア事業を展開する成都泉源堂大薬房連鎖有限公司へ資本参加し、物流分野での提携だけでなく、日本の医薬品、化粧品、健康食品などの提供、紹介等を展開。

消費者向け健康イベントでファンを増やす施策も。マツモトキヨシHDでは、定期的に「セルフメディケーションフォーラム」を開催し、サプリやコスメの活用法を紹介。10月開催時には、同社アプリ会員の女性ら700人超が参加。

同社専務取締役営業統括本部長の松本貴志氏は、全国1,600店超のうち、サプリメントバーが全国21店であることや、オリジナルブランドのサプリメントシリーズ『アスリートライン』のプロテイン、アミノ酸ほか、隠れたヒット商材として急伸しているエナジードリンクなどを紹介した。薬系ルートでは、今後も、医薬品や日用品、介護用品から健康食品までの複合提案で新たなインフラ構築が進みそうだ。

 

 

本記事は「健康産業新聞 1680号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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