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ZOOM UP 【香料サプライヤーの健食戦略】健康食品の”おいしさ”ニーズ高まる マスキング・風味強化・甘味感増強など、香料メーカーの役割大きく

香料は、健康食品原料が持つ独特の味やにおいを矯正する効果や、香りや風味を強化する効果を有し、健康食品では食べづらさの緩和などで使用されている。近年では一般食品に近い形態の健康食品が増加。健康食品の “おいしさ”ニーズが高まっており、“味”の設計をサポートする香料サプライヤーの役割も大きくなっている。一般食品では健康志向の高まりから糖分の過剰配合を控える開発傾向に。甘味感を付与するフレーバーの引き合いが増えている。

■健康食品の開発に果たす香料の役割 香料は、食品の香りや味の強調・消去、嗜好性アップなどが可能だ。日本香料工業会によれば、香料には、①素材の香りを強化し、香りが少ない素材に香料を付与する「強化(着香)」、②食品素材本来の香りがなくなったり少なくなったりする場合に素材本来の香りを補う「補香(賦香)」、③食品素材が持つ好ましくないにおいや加工工程で発生する加熱香や発酵臭を矯正する「風味矯正(マスキング)」の 3 つの働きがある。

①「強化(着香)」および ②「補香(賦香)」は、フルーツ素材を使用したスムージー飲料や、乳酸菌チョコレート、グミなど、機能性菓子で採用されている。 ③「風味矯正(マスキング)」は、プラセンタ、コラーゲン、DHA・EPA、ウコン、高麗人参、プロテインといったクセの強い機能性素材で活用されている。苦味・えぐみ・渋味・青臭さを完全に消さずにある程度残すなど、細かい調整も可能で「青汁や漢方茶などでは元の香りをある程度残すマスキングが人気」との声もある。

小川香料では、マスキング用途としてプロテイン粉末飲料向けに開発した『マスキングフレーバー』シリーズや、苦味、えぐみなどクセのある素材のマスキングに適した『NAF®天然香料シリーズ』が好評だ。栄香料では、苦味低減や、甘味・フルーツ感・果汁感の増強を得意としている。コラーゲン、ヒアルロン酸、プロポリス、プラセンタなど多数の健食素材で実績があるほか、昨年は紅茶感をより増強する香料の採用が増えたという。

■低糖訴求の香料、引き合い増 機能性原料を提案するメーカーも

健康志向の高まりを受け、海外を中心に「低糖」需要が高まっている。一昨年にはイギリス、昨年にはマレーシアが砂糖税を導入し、タイでも砂糖含有飲料に対する物品税率の段階的な引き上げが開始された。シンガポールでは糖分の高いパッケージ甘味飲料の広告規制も発表されており、東南アジアでは砂糖規制は広がりを見せている。国内では平成27年に発表された「保健医療2035提言書」内で「たばこ、アルコール、砂糖など健康リスクに対する課税」が検討課題の一つとして言及されており、今後の動向が注目されている。

香料サプライヤー各社では、独自の調香ノウハウで「おいしさ」を損なうことなく「甘味」を再現可能な素材や風味改善剤などを各種ラインアップ。市場では、高甘味度甘味料の後味を改善するフレーバー、砂糖様の自然な甘い風味を付与するフレーバー、低糖・糖質ゼロでも自然な風味を付与するフレーバーなどが提案され、「東南アジアへの輸出品で引き合いが増えている」との声もある。

香料のノウハウを活かし、機能性原料を提案する香料サプライヤーもある。長岡香料では、ヒト臨床試験で血中果糖濃度の上昇抑制、体重増加抑制、内臓脂肪の蓄積抑制作用を確認済みの果糖吸収抑制素材『ユーカラジン®』の引き合いが好調だ。稲畑香料ではゴマリグナンリッチウコン精油『メモリーチTM』を提案。認知症予防の可能性を示唆する学会報告に加え、脳内移行効率の向上と、ニコチンに起因する血管劣化保護効果などが確認されている。

本記事の続きは「健康産業新聞1683号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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