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特集【化粧品受託製造】3 割 が 2 ケ タ 増 収 達 成 も 、中 国 特 需 に 陰 り

化粧品市場の成長にブレーキか!? ―― 経済産業省の生産動態統計では、1.4兆円台で前後していた化粧品市場は2016年以降、成長軌道に乗り、2018年には1.7兆円に迫る勢いにまで急成長。中国をはじめとする外国人観光客の爆買やソーシャルバイヤーによる代購・転売、越境ECを通じた販売など、イン・アウトバウンドの特需を背景に成長してきた。受託企業への調査でも2ケタ増収が続出。新工場の建設が相次ぎ、ここ1~2年は工場の人材不足に加え、一部原料や容器など資材不足にまで陥るなど、業界は嬉しい悲鳴を上げていた。ところが今回、本紙編集部が化粧品受託製造企業を対象に実施した取材およびアンケート調査の結果、これまでの勢いに陰りが見られる結果に。2020年の化粧品市場は?受託企業への調査から、化粧品市場の最新動向をレポートする。

■2019年下半期、6割強が増収達成も昨年調査比では大幅減

今回、本紙編集部が化粧品受託製造企業150社(有効回答55社)を対象に実施した取材およびアンケート調査の結果、2019年下半期に増収を達成した企業は、昨年調査より14ポイント減の67%、その内2 ケタ増収を達成した企業も同12ポイント減の27%と、ここ2 ~ 3 年の急成長にブレーキが掛かっていることがわかった。

2019年下半期( 6 ~12月)の経営状況について「良かった」と回答した企業も54%(同16ポイント減)となった。今回の取材では、多くの企業から「夏頃から販売メーカーの動きが全体的に鈍ってきた」との声が聞かれた。

ここ1 ~ 2年深刻だった容器不足なども改善の方向にあるという。取引先の生産調整なども始まっているもようで、「リピート注文までの期間が長くなってきている」といったコメントも。イン・アウトバウンド特需の波は緩やかに引いている状況がうかがえた。

業界最大手・日本コルマー㈱の神崎友次会長は、「中国のEC法施行に伴う規制強化や、米中貿易摩擦、中国経済の成長率鈍化などを背景に、中国依存度が高かった販売企業を中心に反動が出始めている」とし、一方で、「これまでが特殊だった。これからの急成長は難しいのでは」とコメント。

実際、2020年上半期の経営見通しについては「良くなる」との回答は昨年調査より14ポイント減の46%、逆に「悪くなる」( 4 %)、「どちらともいえない」(41%)との回答が増えており、先行き不透明な状況が感じられる。

■メイド・イン・ジャパン化粧品の需要高まり、海外向け製品の受託伸長

イン・アウトバウンドの特需的な動きは落ち着いたとはいえ、化粧品受託市場の業績を支えるターゲットは、海外での展開に今後も変わりはない。化粧品の輸出額も、2016年に初めて輸入額を上回り、2017年には輸出金額が輸入金額の1.5倍、2018年は約2 倍に伸長。

この間、メイド・イン・ジャパン化粧品の品質は海外でも高く評価されたもようで、今後も輸出金額のさらなる伸びが期待される。今回、輸出向け・海外企業からの受注について聞いた調査では、「実績あり」との回答は87%と、昨年調査より7 ポイント増加。輸出先は昨年同様、中国、台湾、香港がトップ3 となっている。さらにベトナムやタイなど東南アジアへの輸出も増加傾向にあることがうかがえた。

実際、受託企業には、「日本らしい原料(サクラ、ツバキ、茶、馬油など)を使用した処方開発」や「中国やアジア諸国に輸出可能な処方」といった輸出を意識した開発依頼が増えてきているとのこと。一方、国内市場の動向を見ると、健食通販やアパレル、食品メーカーなど異業種参入は引き続き活況だが、消費者の嗜好、購買動向は多様化が進んでいる。

 

 

本記事の続きは「健康産業新聞1682号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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