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特集【ミネラル】慢性的なミネラル不足 スポーツ、介護食品、ロコモ対策など用途開発に期待

五大栄養素であるミネラルの摂取不足が続いている。毎年公表される国民健康・栄養調査の結果は「日本人の食事摂取基準」が示す基準値と大きく乖離。充足率の低さが目立つカルシウムは各年代で推奨量の5~8割程度で、慢性的な摂取不足に陥っている。マグネシウムや鉄などの必須栄養素も不足している状態が続く。市場ではミネラル強化型食品が再評価され、サプライヤー各社による用途提案が活発化。バーやゼリー、グミタイプのミネラル強化型食品、スポーツ分野や介護・高齢者向けといった商品開発が進んでいる。

■摂取不足が顕著なミネラルは?

「国民健康・栄養調査(平成29年度)」によると、20代男性の 1 日あたりのミネラル摂取量(平均)は、カルシウムが435mg、マグネシウムが218mg、鉄が7.3mg、亜鉛が8.9mgだった。前年の調査と比較すると、カルシウムの減少幅が一番大きく 5 mgの減少。その他の主な栄養素は、前年比で減少か、同水準で終わった。

基準値に対してはカルシウム、マグネシウム、亜鉛が摂取不足。すべての年代で推奨量に足りてない実態が明らかになっている。摂取基準からもっとも乖離しているミネラル成分は「カルシウム」。例えば20歳以上男性のカルシウム推奨量は800mgと定められているが、実際は435mgしか摂取できていない。骨粗しょう症リスクの高い女性でもカルシウム推奨量650mgに対して50代では摂取量511mg、60代でも552mgにとどまっている。成長期前後の 7 ~14歳も646mgと低水準に。成長期のカルシウム摂取量が高齢になってからの骨量に影響を及ぼすことから重大な問題として指摘されている。

マグネシウムはどの年代も推奨量を下回り、中年男性では 6 割程度しか充足されていない。女性では「鉄」不足が深刻で、月経のある女性の摂取量は推奨量の 7割程度だった。

今年3 月から新たに改定される「日本人の食事摂取基準2020」では、生活習慣病の発症予防の観点からカリウムの目標量(下限)が設定される見込み。このほか、カルシウムの推奨量が現状の650mgから新たに750mgに引き上げられるなどの変更が見込まれている。

■消費者啓発の必要性指摘も

日本人の慢性的なミネラル摂取不足の背景には、不規則な生活習慣による食生活の乱れ、野菜や穀物類といった農作物自体に含まれるミネラル量の減少――など、様々な要因がある。また、消費者のミネラルに関する知識・情報が少ないことも積極的な摂取につながらない要因のひとつとして挙げられている。サプライヤーからは、「骨形成や骨強化にカルシウムやマグネシウムが関与していることへの認知度は高いが、ミネラル不足がまねく健康リスクについての認知度は低い」「ビタミン・ミネラル不足が生活習慣病のリスクを高めることはあまり知られていない」といった声も聞かれた。

ミネラルは骨や筋肉、スポーツ栄養、免疫機能、心臓機能、神経刺激の伝達、味覚、皮膚、性機能などにとって不可欠な栄養素。一般的に体内の代謝活性に必要な助酵素としての機能をもつ。ミネラル欠乏は生体機能の調整に影響を及ぼすため、単体のミネラルではなくマルチミネラルの摂取が健康維持に不可欠となる。

本記事の続きは「健康産業新聞1683号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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