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特集【牡蠣】業界待望、機能性表示が登場 スポーツ分野の利用も進む

海のミルク”“海のスーパーフード”とも呼ばれる栄養価に優れた伝統素材・カキ。伝承的薬効に科学的エビデンスのデータ蓄積が進み、相談薬局、ドラッグストアでは定番アイテムになっている。また、アンチドーピング認証「インフォームド・チョイス」を取得した商品がスポーツ分野で利用が進むほか、業界待望の“疲労感を軽減する”機能性表示食品も登場した。新たな切り口による市場活性が期待される。

■栄養抜群のカキ“海のミルク”“海のスーパーフード”

カキは、亜鉛、鉄、セレン、クロム、マグネシウムなどの微量ミネラル、ビタミンA、B群、D、Eなどのビタミン類、グリコーゲン、タウリンなどを豊富に含む。なかでも、亜鉛含有量は食品中で突出しているほか、タウリン含有量もトップクラスにある。その栄養価の高さから“海のミルク”“海のスーパーフード”とも呼ばれている。「平成30年国民健康・栄養調査」で公表された栄養素等摂取量と「日本人の食事摂取基準」で示された栄養素の推奨量と照らし合わせると、亜鉛は、男性の各世代で不足に。女性は20~40代で推奨量を下回った。

マグネシウムは、男性の各世代で推奨量を下回り、中年男性では摂取量が7 割程度しかない。鉄不足も深刻で、20代女性(月経あり)では8.5mgが必要だが、摂取量は6.5mg。30~60代でも9.0mgが必要なのに対して実際の摂取量は7 割から8 割にとどまる。こうした調査結果からも、カキは天然のミネラル・ビタミン素材としても再評価されている。

■原料サプライヤー、活発提案カキ専業メーカー2社、エビデンス進む

健食市場で流通するカキ原料は各社とも製法に違いはあるが、基本的な原理はカキ肉の煮汁を抽出し、水分を飛ばして原液にするのが一般的。国産品は、瀬戸内海、北陸産三陸などのカキを使用。県
別生産量でみると広島県が約1 万8,700tで最も多く全体の約6 割を占める。海外品は中国産、韓国産などがある。

流通するカキ原料価格はキロあたり7,000円前後~ 2 万円前後。主な原料・OEMサプライヤーは備前化成、丸善製薬、松翔、ヒューマンモアなど。備前化成は、瀬戸内海産のカキエキスパウダーや、カキエキスに海藻由来の亜鉛成分を強化した『マリンジンクS』をラインアップ。原料供給のほか、一貫生産体制を構築する自社工場で受託製造も手掛ける。丸善製薬は、広島産カキを特殊製法で、機能性成分の含量を高めた『圧力酵素分解カキエキス』を供給。飲料での利用もしやすく、「サンプル依頼が多い」という。

末端製品は、サプリメント剤型、飲料、ゼリータイプなどが流通。肝機能サポート、活力系サポートを訴求した商品が多い。新たな訴求としては、カキサプリメント専業メーカー・日本クリニックが
「かき肉エキス」で初のアンチドーピング認証を取得、スポーツ分野での利用が広がっている。同社ではさらに、「かき肉エキス」の記憶減衰抑制、腸内フローラ改善、ストレス緩和作用なども確認。今月中には、立命館大学と共同で実施している抗疲労効果などを検証するヒト試験の研究成果がまとまるという。

渡辺オイスター研究所は、カウセンリング重視をモットーに医薬業界のみで自社製品「ワタナベオイスター」シリーズを展開。同社もゼリー品でアンチドーピング認証を取得したほか、昨春には『ワ
タナベオイスターDHMBA(ディーバ)ゼリー』(届出番号:D538)が二枚貝初の機能性表示食品(RCT)として受理された。表示内容は、「日常生活で生じる中高年の方の一過性の疲労感を軽減する機能があります」。機能性表示食品の投入により、売上高は、前年比7.0%増以上を達成。全体の底上げに貢献した。

本記事の続きは「健康産業新聞1688号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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