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特集【アンチドーピング】オ リ ン ピ ッ ク 直 前 、広 が る ド ー ピ ン グ 対 策

東京オリンピックを目前に控え、国内ではスポーツニュートリション分野への関心が高まっている。スポーツサプリの開発について回るのがアンチドーピング(AD)。国内ではインフォームド・チョイス、NSF、BSCGなどAD認証や、成分分析サービスの利用が広がっている。一方で、大手ブランド製品から禁止薬物成分が検出され、プロアスリートに提供されていた事例も。製品開発における禁止成分分析の重要性がより一層高まっている。

■AD分析の必要性が増加

東京オリンピック、パラリンピックを目前に控え、国内のサプリメントメーカーは、スポーツニュートリション分野への展開を広げている。プロテインやアミノ酸市場は、健食業界における一大カテゴリ―に成長しており、本紙集計の粉末プロテインの市場規模は400億円に迫る。2019年に発売されたプロテイン食品数は、30品を超えており、2 年前と比較するとその差は3 倍まで増加。アスリートのみならず、高齢者や女性、子供に向けた新商品も上市されており、市場拡大への期待感がうかがえる。

アスリート向け製品を開発するメーカーには、世界アンチドーピング機構(WADA)が指定する禁止成分が除去されている証明が求められる傾向にあり、インフォームド・チョイスやNSF、BSCGなどAD認証を利用する企業も増加している。また通常のブランドでもアスリートレベルの品質を満たす証明としてAD認証を取得するケースも。ドラッグストアやフィットネスクラブなどで認証製品が見受けられるようになった。

AD認証が普及する一方で、国内でアスリートに提供されていたスポーツサプリから禁止成分が検出されたケースも。ドームは、昨年9 月、プロ野球チームに提供していた鉄分サプリから、DHEAなど3種類の禁止薬物成分が検出されたと発表。同社は、「製品の発売後、AD認証を取得するため、海外ラボで検査を進める過程で禁止成分が検出された」としており、AD検査自体に問題があったわけではないが、複数の選手が該当製品を摂取した可能性もある。同社は、迅速に調査を進めるとしていたが、混入経緯や原因に関する追加説明は未だ行われていない。

国内のプロスポーツ団体の中には、選手のサプリメント使用について消極的な姿勢を示す団体も多く、現役アスリートからは「万一を考えてサプリは摂取したくない」という声も。JADA公認のAD情報提供者であるスポーツファーマシストによると「1 商品が認証されることで、ブランド全体がADに対応していると誤認するアスリートも多い」としている。こうした中、スポーツサプリメントの開発において禁止成分分析の重要性がより一層、高まっていることがうかがえる。

■AD認証と成分分析サービス

日本アンチドーピング機構(JADA)は、昨年3 月、「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みガイドライン」を公開。生産施設審査の基準、製品分析における対象物質の範囲などが明確化れた。また分析機関には、液体100ng/mL、固体100ng/ 1 g の分析基準値が定められ、WADAの指定分析機関に求められる国際規格ISO/IEC17025認証の取得が推奨された。

国内のAD認証を巡っては、18年末にJADAが認証業務の終了を発表。現在、インフォームド・チョイス(IC)、NSF、BSCGなど海外認証のみが存在し、新ガイドラインに沿った形で運用されている。なかでも英国の分析機関LGC社の分析プログラムICは、150製品以上が認証されており、国内最大のAD認証となっている。サプリのみならず、『キューピーコーワαドリンク』や『リポビタンD』など医薬部外品の認証取得例も見られる。

本記事の続きは「健康産業新聞1688号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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