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ZOOM UP【鮫肝油】伝統マリーン素材、インバウンドに打撃 国内需要は堅調維持

伝統マリーン素材として健康食品業界で長きにわたり利用されている鮫肝油。えがお、エバーライフ、オリヒロプランデュ、などロングラン製品が多く、ブームに左右されない健康食品として定着している。近年は、「エイジングケア」「生活習慣病予防」を切り口に新たな顧客獲得も進む。新型コロナウイルスの影響では、中国をはじめとした訪日観光客に人気だった商品は苦戦しているものの、国内需要はリピーターに支えられているほか、免疫サポート商品へのニーズが高まる中、鮫肝油もその一翼を担うアイテムとして堅調を維持している。

■鮫肝油、輸入量1,000tで安定

水深300から1,000 mの深海で光が届かず酸素も少ない環境下に生息する深海鮫の肝臓にはスクワレンをはじめさまざまな有用成分が含まれている。もともと、深海鮫の肝油に含まれるスクワレンを発見したのは日本人で、今から100年以上前の1906年に、東京工業試験所の技師であった辻本満丸氏によって発見、命名された。その後、酸化・変質しやすい性質をもつスクワレンに水素を添加すると分子構造が安定し、完全な飽和オイル(スクワラン)になることがわかり、化粧品のベースオイルとして使用されるようになった。鮫肝油は、その多くを海外から調達している。昨年の輸入量は約976 t 。一昨年(約1,000 t )とほぼ変わらない。近年は、原料サプライヤーによる新たな漁場の開拓がり、アフリカ、中東諸国で鮫の捕獲量が安定しており、供給面に不安要素は見当たらない。
原料は、鮫肝油から抽出・精製した高純度タイプのスクワレンや、スクワレン以外のアルコキシグリセロールなど特定の有用成分だけを抽出した原料、またスクワレンのみならず肝油に含まれるその他の有用成分を生かした製造法による生肝油タイプの原料などがある。原料相場はスクワレンがキロ当たり4,000円台から5,000円前後。スクワランが3,500円台から5,000円前後。新型コロナウイルスの感染拡大による影響は今のところないが、発展途上国の経済・生活力向上し、漁師の賃金水準が上がっていることに加え、世界中で自国領域での資源保護の動きが強まっており、原料サプライヤー各社によると、「価格が下がる可能性は低い」との見方が強い。各社、引き続き、新規漁場の開拓を進めるほか、フィルタリング強化や、海中汚染による水銀などの重金属、残留農薬の自社基準を設けるなど、安全性、品質管理体制に徹底して取り組む。国内では、沖縄に拠点を置くスクワラン本舗が沖縄近海で捕獲した鮫肝油の原料・OEM供給を展開。国産原料として輸出量が増加している。

本記事の続きは「健康産業新聞1692号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申込みはこちら

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