統合医療

疲労研究者、臨床医師による関東疲労懇話会発足

 第一回となる関東疲労懇話会が、先月15日(土)、都内で開催された。
 同会は、慢性疲労・メンタルヘルス障害に関する研究、診断、治療に関する情報を社会に広めるとともに、産業疲労・メンタルストレス検診事業の推進、普及活動により、労働者をはじめとする現代日本人のストレス疾患に対する早期発見,早期予防体制の確立を目的として、疲労研究や臨床にたずさわる医師などを中心に設立されたもの。


 主なメンバーは顧問・板生清(東京大学・名誉教授)、大久保堯夫((社)日本交通科学協議会・会長)、倉恒弘彦(関西福祉科学大学・教授;厚生労働省疲労研究班・代表)、代表世話人・小泉淳一(横浜国立大学・教授)など。当日は医療関係者を中心に70名ほどが参加した。
 基調講演として、「疲労研究の現状と今後」と題し厚生労働省疲労研究班班長の倉恒弘彦氏が登壇。昨年4 月、厚生労働省が発足させた「自律神経異常を伴い慢性的な疲労を訴える患者に対する客観的疲労評価法の確立と診察指針の作成」研究班の進行状況やそのための疲労測定のバイオマーカーの進行状況等を説明した。
 「現在、推定で数百万人に及ぶ慢性疲労患者がいるとされるが、疲労感は主観的な感覚で評価が難しく、疲労感を持つ人が一般的な臨床検査等を受診しても“異常なし”と診断されるなど現行の疲労診療は医療現場でうまく稼動していない」と背景を説明。
 現在、大阪市立大学や名古屋大学、(独)国立病院機構さいがた病院、九州大学を中心に自律神経機能評価や酸化ストレスチェック、脳機能解析などの観点から進めている評価法の研究を紹介。「年間で約100名の患者の疲労度を評価しデータを収集。平成22年度末には客観的評価法を確立し、平成23年度に慢性疲労診断指針を策定することが目標。今月にも厚労省のHP内に研究班の状況がページアップされる予定」と報告。「6 月の第6回日本疲労学会学術総会ではさまざまな観点から疲労研究の現況を報告する」と述べた。
 大阪市立大学医学部教授・渡辺恭良氏は「疲労のメカニズムと疲労克服」と題し講演。昨年終了した、文部科学省の研究助成により2004年から進められた21世紀COEプログラム「疲労克服研究教育拠点の形成」での疲労研究を中心に解説。CoQ10、ビタミンB 1(フルスルチアミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)などの機能性素材が抗疲労に有効なこと。そうした成分を考慮した抗疲労弁当や人工透析患者への食品介入試験などを行っていることなども述べた。

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