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ウィズコロナ時代、納豆の機能性に期待感!(特集/納豆由来機能性素材)

日本伝統の発酵食品である納豆。ナットウキナーゼ、ビタミンK2(メナキノン- 7)、納豆菌、ポリアミンなど様々な有用成分が含まれ、これらを凝縮したサプリが国内外で数多く上市されている。充実したエビデンスデータ、体感性の高さから安定した需要を獲得している。市場を牽引するナットウキナーゼは血栓溶解作用、脳機能改善、美肌など多彩な機能性研究が進展。昨年12月には「血圧」分野で初の機能性表示食品が届出受理された。また新型コロナの感染拡大に伴い抗ロコモ、免疫賦活、ダイエット等への関心が高まる中、同分野に豊富なエビデンスを有するビタミンK2、納豆菌への期待が高まっている。

■ナットウキナーゼ初の機能性表示食品が登場

納豆は安価で栄養価が高い伝統的な発酵食品だ。近年はナットウキナーゼ、ビタミンK2(メナキノン-7)、納豆菌など納豆に含まれる有用成分に関する研究が進み、納豆独特の臭いを取り除いたサプリメントが数多く流通。中国やオセアニア地域での利用も広がっている。

市場を牽引するのは、血流改善に豊富なエビデンスを持つナットウキナーゼ。1980年代に「血栓溶解作用」が確認されて以降、血液の凝固・線溶系に対する影響、血液流動性改善に関する研究が進められてきた。

国内では小林製薬、オリヒロ、アサヒグループ食品、ヤクルトヘルスフーズ、ファンケル、ディーエイチシーなどの定番商品となり、越境ECを介した海外での販促も進んでいる。DHA・EPA、CoQ10、エラスチン、フコイダンなどと組み合わせた製品も多い。

ナットウキナーゼサプリの多くは、血栓の主成分となるタンパク質の分解ユニット値(FU値)を2,000 ~4,000の間で規格化し、血液凝固を促進するビタミンK2を除去し、血栓症患者などに処方される血液を固まりにくくする医薬品成分(ワルファリン)との併用することができる。

昨年12月、日本生物.科学研究所の『ナチュラルスーパーキナーゼⅡ』がナットウキナーゼ初の機能性表示食品として受理された。血流改善に伴う血圧低減作用を訴求し、既に複数社で同様の研究レビューを用いた届出の動きが見られる。また関連メーカーによる首や肩痛の改善作用、血中内の遊離β-アミロイドの正常化効果、美肌作用等の臨床研究が進展。女性サポート、脳機能改善、内外美容など多分野での活用が進んでいる。

主要各社への取材では新型コロナに伴うインバウンド縮小、海外輸出の減少等の影響は大きく、今年上期は苦戦を強いられたメーカーも多かった。一方で「7月から急激に問い合わせが増えた。中国でのコロナ終息の影響とみられる」「国内ではナットウキナーゼの免疫機能に関する問合せが増えた」「インバウンド縮小で店頭は厳しいが、通販ルートは比較的堅調。特に中国向けの越境ECは急伸している」という前向きな声が聞かれた。

■ビタミンK2、ロコモ対策で需要増

納豆菌由来のビタミンK2(メナキノン- 4 )は、カルシウムの骨への沈着を促すタンパク質の働きを高める油溶性ビタミン。高齢者やアスリートの骨・筋肉をサポートするサプリメントへ利用され、トクホでは『ビタミンK2&Ca』(協和発酵バイオ)が「カルシウムが骨になるのを助ける」の表示が許可されている。

またビタミンK2には血液の凝固作用があり、栄養機能食品としては「ビタミンKは正常な血液凝固能を維持する栄養素です」の表記が認められている。
J-オイルミルズは中国、韓国、インドネシアなどからの引合いが増加。新型コロナ禍では外出減に伴う高齢者のロコモ人口の増加が懸念されており、ビタミンKへの期待が高まっている。

■納豆菌、コロナ禍で免疫研究が進展

納豆菌は枯草菌に分類される非病原性の細菌。乳酸菌と同様に無数の菌株が存在し、生菌と殺菌済みの菌代謝物が食品原料として利用されている。

古くから免疫学領域での研究が盛んに進められ、免疫賦活作用に関する豊富なエビデンスがある。近年は腸内フローラ、便通、肌質の改善作用に関する研究が進展。「菌活」をテーマに納豆菌と乳酸菌を組み合わせたサプリメント、納豆用タレなどが上市されている。

コロナ禍で納豆菌の免疫賦活作用に対する関心が高まっており納豆菌培養メーカーへの問い合わせが増加。新たに機能性表示食品の取得を目指す動きも進められている。

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