統合医療

第11回国際統合医学会学術集会、都内で開催

 第11回国際統合医学会学術集会が、「先端医療としての統合医学」をメインテーマに、7月17日(土)、18日(日)の両日、都内で開催された。医師を中心に2日間でのべ約500人が参加した。


 会頭講演で健康増進クリニックの水上治氏は、「世界の趨勢として先進国では統合医療が当たり前になってきている。先進国では唯一、日本が一番遅れている」とした。統合医療が軽視されている理由として、①医師達が保守的、②補完・代替医療のエビデンスレベルが低い、③補完・代替医療にイカサマが少なくない、④そのため良識ある医師の支持を得られず敬遠されがち、などの理由を挙げた。しかし、「患者側に立てば、治療の選択肢が少なく損であろう」とした。一方、わが国の医療界もまだ保守的で、がん治療の場合、医師は、自分の治療領域に患者を誘導しようとする。統合医療は患者主導型医療でなければいけない」と指摘した。そして「統合医療は内容的に玉石混交であるが、先端医療はエビデンスレベルが高く、QOLを高めるのでさらに重視されるべきである」と解説。今回の学術集会のテーマでもある、先端医療を先端に立たせることで、統合医療の医師を始め社会の認証を得ることが重要と説明。「特に進行がん治療は、①標準医療+②先端医療+③補完代替医療の3 つの組みあわせが必要だ」とし、水上氏のクリニクでも行っている超高濃度ビタミン療法、温熱療法、放射線ホルミシス療法などを紹介した。
 特別講演では、University of KansasMedical CenterのChen, Qi氏が登壇。「ビタミンCのプロオキシダント(活性酸素の前駆物質)としての薬理学的効果―特にがん治療における役割」と題し米国NIHで行われた高濃度ビタミンCの動物実験の内容などを中心に講演。体調不良のため欠席した高濃度ビタミンC療法の権威Mark A. Levine博士のピンチヒッターを勤めた。
 ランチョンセミナーでは、点滴療法研究会会長の柳澤厚生氏が「高濃度ビタミンC点滴療法の臨床」と題し講演。エイジングケアからがん治療まで幅広く手寄与できる高濃度ビタミンC点滴療法の具体的な処方について解説した。
 2 日目には健康科学大学教授の蒲原聖可氏が登壇。「医療現場におけるサプリメントの適正使用に向けた展望」と題し講演。統合医療の見地から、適正な使用を前提にサプリメントの必要性を述べ、その評価方法についての持論を述べた。また愛知医科大学医学部泌尿器科学講座の伊藤要子氏は温熱療法のひとつである「マイルド温熱療法」でがんをはじめ、様々な疾患に有効であることを、臨床試験の成果を交えて紹介した。このほか、香港から、M. Ali博士(Chinese Preventive Medicine Association 会長)が、最新の植物性幹細胞療法に解説したほか、樹状細胞療法、肝硬変に対する自己骨髄細胞投与療法、マイルド加温療法、オゾン療法など、統合医療現場での臨床にも役立つ最新情報の講演が複数行われた。

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