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「ブルーゾーン世界の百歳人に学ぶ健康と長寿のルール」(ダン・ビュイトナー著)を読んで

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 健康産業新聞書評でも紹介した著書だが、ブルーの表紙もなかなかの迫力で、木を見て森を見ない生活をしているわれわれには興味深い。サプリメントには否定的な発言も所々に出てくるが、それも含めて、サプリメントの目的を再発見する上でも、面白いかもしれない。

 「ブルーゾーン」とは著者が命名した健康長寿者が数多く集まる得意な地域のこと。世界の長寿研究者らと、日本・沖縄やイタリア・サルディーニャ島など4ヶ所を特定し、各地で現地調査し、健康と長寿の9つのルールを明らかにしていくというもの」(健康産業新聞1月26日書評より)だ。

 なぜ人はサプリメントを利用するのか、米国などは明らかに、高額医療という医療制度が一因している。我が国では、高齢者を中心にサプリメントの利用が広がっている。考えてみれば、他の食品のように美味しさや香り、食欲をそそるものではなく、あくまでもその機能を確認し、目的に向かって、ソリューション(問題解決)として飲んでいる人々が多い。その先には、やはり健康長寿という課題がある。


 ブルーゾーンの舞台では、長寿の人々の中で、そのルールを探そうとして、徹底した調査が試みられるが、その結果、意外なルールが見えてくる。社会とのコミュニケーションがとられているか、親子・家族関係はどうか、腹八分が心がけられているか(わが社の顧問から20年も前に腹八分の効用実験の成果を叩き込まれ、今、アンチエイジングで脚光を浴びているのだが)。
 概して食生活はいいとは言えない、100歳の人々が生まれ育った時代であれば。健康で長生きをするには、存外に、心の問題が影響しているのか、社会とのかかわり、助け合い、もちろん伝統的な食生活や労働も。そうした中で、これまた当然であるが、サプリメントには殆ど触れられていないが、その役割はあったとしても、それほど大きいポジションを占めていないと。
 
サプリメントメーカーもこれを批判する人々も、人が幸福に生きるために、これらの果たす役割は、限定されたもので、奇跡は起こしてくれない。むしろエビデンスという曖昧な共通語の魔術で切り捨てられている、プラセボのような感覚が大切なような感じもする。エビデンスという心地いい言葉で括られているが、推奨する人も批判する人々も、教育と同じように100年のスパンで物を見なくては人のエビデンスと安易にいえないのではないか。行政の意気込みも悪くはないが、健康で元気に生きることが人生の目的なら、もう少しおおらかな問題解決法がないものか。

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