医薬品、バイオ、健康食品企業約500社がソウルに集結

医薬、バイオ、機能性食品素材の国際展示会「CPHI/Hi Korea 2026」(主催・Informa Markets Korea)が8月25日、ソウルのCOEXで開幕した。22の国や地域から478社が出展。会期3日間で90ヵ国・地域から1万2,000人を超える業界関係者の来場を見込む。今年は海外来場者の事前登録比率が19.6%に達し、過去4年間で最高を記録。話題のGLP-1やポストバイオティクスの素材にフォーカスしたセミナーや、現地韓国マーケットをはじめ、マレーシア、日本市場について解説するカンファレンスプログラムも複数設定され、事前登録が定員を上回るなど、同展示会への関心は年々高まっている。




会場では、医薬品原料や最終製品、バイオテクノロジー・バイオ医薬品、医薬品開発製造受託サービスをはじめ、健康食品・機能性食品原料や製品、OEM/ODMやラボ・分析機器、包装にいたるまで、サプライチェーンを構成する幅広い企業が集結。現地韓国をはじめ、日本、中国、インド、米国、ドイツ、スイス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、台湾、タイなど、22ヵ国・地域の出展社が最新の原料や製品、サービスをアピールした。
海外事前登録比率19.6%、よりグローバルに
主催者発表によると、最終事前登録者の構成比は韓国国内が80.4%、海外が19.6%となり、事前登録者総数は前年を約7%上回り、海外比率は昨年開催時の14%から5.6ポイント上昇し、約20%に。国際化が一段と進んでいることが窺える。特に関心が高いのが健康・機能性食品で、会場では最新の素材や技術に熱心に耳を傾ける来場者の姿がみられら。同展示会では、OTC医薬品やジェネリック医薬品原薬に至る幅広いカテゴリーが集結するのが特長で、健康・医療が一体化し情報が得られる点が高く評価されている。また、今回は昨年開催時からエリアを拡張。展示会場となるCOEXのCホールをメインに、Eホール、The Platzホールの3会場で構成された。専用セミナー会場では、原料メーカーやグローバル企業による技術セミナーが連日開催される。


バイオヘルス産業の新たなステージへ
医薬・バイオ分野では、新設された国家バイオ革新委員会が登壇する「KDRAバイオヘルス政策フォーラム」が開催。委員のSeo Kyungwon氏が医薬・バイオヘルス産業に対する政府支援政策の方向性をテーマに基調講演を行うほか、韓国科学技術政策研究院が技術事業化エコシステムの構築、製薬産業戦略研究院が海外の政策動向などについて講演を予定。バイオヘルス産業の次のステージ向けたパネルディスカッションも開催される。
また、韓国新薬開発研究組合(KDRA)によるマイクロニードル技術セミナーでは、東京大学や釜山大学、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンらが、ワクチンや薬物送達プラットフォームへの転用開発について動向を発表する。


健康食品、世界の潮流を反映
健康食品分野では、KSM-66アシュワガンダの科学的根拠を紹介するセッションを皮切りに、dsm-firmenichがエイジング、GLP-1、フェムケア領域のテーマでセッションを実施。日本からは丸善製薬、森永乳業もセミナーに登壇。また、海外展開をテーマにしたセッションでは、日本から矢野経済研究所、健康食品産業協議会が、日本市場の動向や機能性表示食品制度について解説講演を実施。医薬品領域では、日本薬業貿易協会(JPTA)も登壇した。








出展エリアでは、OEM/ODM企業のKolmar BNHが新剤型を展示。世界的なアシュワガンダブランドのKSM-66Ashwagandhaの韓国における代理店を務めており、同素材を用いたグミ製品などを展示。


また、近年人気の液剤とカプセルやタブレットなどのサプリメントを一度に摂取できる液剤と錠剤を1本に収容した一体型の「二重剤型容器」を紹介した。容器下部に20~25mLの液剤、上部のキャップ内に錠剤やカプセルを分けて収納する二層構造となっており、異なる剤型を一つにまとめることで水や別容器を用意する手間を省き、携帯性と摂取時の利便性を高めているという。上部は密閉性を高めており、液剤から生じる湿気が錠剤に影響するのを防ぐことで、機能性成分の安定性維持にも配慮している。

同社Eric氏によると「従来品で必要だった保護キャップを省き、部材数やプラスチック使用量を削減した。また、スリムな形状も用意しており、多様なカラー展開にも対応する。液剤の飲みやすさに加え、高濃度の機能性成分を配合できる錠剤の利点を組み合わせられるため、美容、疲労対策、免疫、スポーツニュートリションなど、複数成分を用いる製品への応用が期待できる」としている。同社は日本企業と共同で同容器を採用したインナービューティー製品を開発中で、今後日本を起点にアジア太平洋市場への展開を進めていく。

韓国の健康食品・バイオ素材メーカーNPKは、プロバイオティクスやポストバイオティクスをアピールした。なかでも力を入れているのが短鎖脂肪酸を活用したポストバイオティクス原料「SCFA 455 fermented」。同原料は、韓国生命工学研究院から技術移転を受けた酪酸菌「Clostridium butyricum S-45-5」を培養し、その発酵過程でつくられる微生物代謝物を原料化したもの。化学合成ではなく発酵によって製造しているのが特長。


「SCFA 455」については安全性評価も進めており、今年実施した反復経口投与毒性試験や遺伝毒性に関する研究成果が国際学術誌に掲載されたという。会期中、「腸および代謝の健康に向けた酪酸菌と短鎖脂肪酸の科学的研究」をテーマに講演を実施する予定。

Lonza Capsugelは、ハードカプセルの中に液体やハードカプセルを収める二重構造の製剤技術「Licaps® DUOCAP®」をアピ―ル。通常では混合が難しい成分を分離したまま1粒に配合できるほか、外側と内側のカプセルが溶ける時間差を利用し、成分を段階的に放出できるのが特長となっている。

外側と内側には、液体、粉末、顆粒、ビーズなど異なる剤型を組み合わせることが可能で、水分や酸に弱い成分と油性成分など、相互に反応しやすい成分を物理的に分離することで製品中の安定性を高めなることを実現した。複数の機能性を1回の摂取で完結できるとして世界的に高く評価されている。即時放出と遅延放出を組み合わせた設計も得意で、プロバイオティクスや消化酵素、ビタミン、植物抽出物などの充填が多いという。


dsm- firmenichは、「Age Slower, Age Better」をテーマに出展。ロンジェビティやフェムケアに対応する素材や製品コンセプトを提案した。主要素材の一つとなる藻類由来のオメガ3「life’s®OMEGA」は、屋内設備で培養した非遺伝子組み換え藻類をからDHAとEPAを抽出。心血管、脳機能、アイケア、免疫など幅広い領域での有効性が期待できるという。「植物由来やサステナビリティのニーズに対応できる」としている。

腸内環境をテーマにした素材では、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ポストバイオティクスを組み合わせた「Humiome®」シリーズを紹介。「Humiome® B2」は、独自のDDSシステムによりビタミンB2の約90%を下部消化管や大腸で放出する設計に仕上げているといい、免疫機能やメンタル、代謝機能へアプローチする。このほか、70年以上の実績を持つビタミンブランド「Quali®」を提案。ビタミンA、B群、C、D、Eなども紹介した。

健康食品・サプリメントのCDMOのSIRIO Pharmaは、内服美容の「Beauty from Within」を中心に、女性の健康や免疫、脳機能などに対応する製品コンセプトや処方を提案した。ソフトカプセルとグミを中心に、錠剤、ハードカプセル、粉末、機能性飲料などの剤型の開発・製造に対応する。


なかでもコラーゲンをゲル化剤として活用したグミ「Puracolla®」を提案。一般的なグミの基材にコラーゲンを加えるののとは異なり、コラーゲン自体にグミの構造を形成させることで、1粒当たりの有効成分量を確保しながら、弾力のある食感と食べやすさを実現したという。

インドの植物抽出物メーカー、K. Patel Phyto Extractionsは、高吸収型クルクミン「CurcuVail®」を紹介。ウコン由来のクルクミンは水に溶けにくく、経口摂取後の吸収率が低いことが課題とされているが、同素材は独自の分散化技術によって水分散性と体内利用性を高めているのが特長。一般的なクルクミン95%品と比較したヒト試験でも、血中への吸収性向上を確認している。

また、独自のリポソーム化技術「VesiMatrix™」もアピールした。有効成分を微細な脂質膜に包み込むことで、溶解性や安定性、吸収性の向上を図ることができる。熱や圧力に対する安定性も配慮しており、カプセル、錠剤、粉末、サシェ、機能性食品、化粧品など多様な剤形に活用できるという。クルクミンをはじめ、CoQ10、グルタチオン、ケルセチン、ビタミンC、レスベラトロールなどのラインアップを揃えるほか、顧客の要望に応じたリポソーム製剤の開発にも対応するという。

日本からは、丸善製薬、ビーエイチエヌ、LONZA、げんてん本店、APAコーポレーションらが出展。
丸善製薬は、今年5月に韓国の健康機能食品に同社のブラックジンジャーが認可されたこと受け、来場者にアピールした。同社では「パインセラミドなど、美容素材への引き合いが強いが、ブラックジンジャーが制度対応になったことに関心を寄せる来場者も多かった」という。


健康食品原料の輸入・開発を手掛けるげんてん本店は、ホワイトトマトエキス「Phytonoid®」や、醗酵NMNなどの日本発の機能性素材をアピールした。「Phytonoid®」は、無色カロテノイドのフィトエンとフィトフルエンを規格化した美容食品素材。一般的な赤色のカロテノイドとは異なり、製品の色調に影響を与えにくい点が特長。紫外線による肌ダメージからの保護やメラニン生成の抑制、光老化対策などが期待でき、「飲む紫外線対策」やインナービューティー製品への採用を想定し提案を行った。また、フルーツ由来の天然甘味料も初披露。飲料などに最適として、試飲提供も行った。

ビーエイチエヌは、健康食品開発を支援する「EBF(Evidence-Based Food)事業」をアピール。健康食品素材の探索から、文献調査、試験計画の立案、ヒト臨床試験、安全性評価、論文化、機能性表示食品の届出支援までを一貫してサポートしており、既に現地企業と連携した取り組みの実績も保有する。臨床試験の実施に留まらず、最終製品のヘルスクレームや販売戦略を見据えた試験設計が強みとしている。韓国では健康機能食品制度が定着する一方、日本の機能性表示食品市場への関心も高いといい、ビーエイチエヌでは、「日本進出を検討する韓国企業に対し、日本の制度や消費者ニーズに合わせたエビデンス構築、届出資料の作成、製品開発、OEM製造まで幅広く対応できる体制を紹介している」といい、ブースは多くの来場者で賑わった。

このほか、森永乳業が現地代理店を通じて出展。セミナーも実施。ヒト由来ビフィズス菌「HRB(Human-Residential Bifidobacteria)」をアピール。現地で人気の高い独自菌株「ビフィズス菌B-3(Bifidobacterium breve B-3/MCC1274)」の研究成果などをアピールした。

医薬、バイオ、健康機能食品の研究開発から製造、規制、流通、海外展開までを一堂に集めた「CPHI/Hi Korea 2026」は、8月27日までCOEXで開催。
詳細はこちらまで https://www.cphi.com/korea/










