行政・業界ニュース

【Interview】K-Beauty、世界市場への挑戦と企業支援 -KOTRAベトナム事務所 Jeong TaeYeong氏-

いまや韓国を代表する輸出産業へ発展した韓国コスメ「K-Beauty」。単なる「韓流ブーム」に留まらず、強力なコンテンツとして世界市場に定着しつつある。中国市場への展開に加え、米国・欧州、日本・東南アジア、中東などへ市場を広げている。韓国政府の発表によると現在韓国の化粧品輸出額は2025年に前年比約12%増の約114億ドルとなり、過去最高を更新。韓国は米国を抜き、フランスに次ぐ世界第2位の化粧品輸出国になったとしている。K-Beautyの海外進出は、2000年代から本格化。THE FACE SHOP、MISSHA、ETUDE、innisfreeなどが中国や東南アジアに専門店の展開を開始した。その背景には韓国ドラマやK-POPによる韓流効果が大きく影響し、製品自体も手頃な価格設定であることが後押しとなり、成長を続けてきた。特に東南アジア市場については、韓流との親和性が高く、若年人口、SNS利用率、ECの成長がK-Beauty普及の追い風となっている。例えばベトナムでは、化粧品市場の大半を海外ブランド品が占めており、その中でも韓国ブランドが高いシェアを持つとされている。今年7月にベトナム・ホーチミンで開催されたインフォーマ主催のBtoB美容展示会「Vietbeauty2026」でも、韓国パビリオンが大きな存在感をみせた。そのパビリオンの一角を形成しているのが韓国の貿易・投資振興機関のKOTRA(Korea Trade-Investment Promotion Agency/大韓貿易投資振興公社)だ。ベトナム市場におけるK-Beautyについて、また、ベトナムでの展示会における韓国企業への支援体制について、KOTRAベトナム事務所に勤務するDeputy DirectorのJeong TaeYeong氏に聞いた。

-KOTRAベトナム事務所について

KOTRAは韓国の中小企業の輸出支援を目的に、ホーチミン事務所を1992年に開設。韓国企業のベトナム市場進出における、営業・マーケティング支援機関として機能している。現在、主要拠点としてハノイ、ホーチミン、ダナンに事務所があり、特にハノイとホーチミンが重要な拠点となっている。具体的には、現地市場調査、バイヤー発掘、展示会への出展支援や商談設定、輸出相談、マーケティング支援などを行っている。

 -展示会への支援内容について

主に「韓国パビリオン」の設置、現地バイヤーとのビジネスマッチング、市場動向セミナーの開催などを実施している。KOTRAが韓国企業を募集し、ベトナムの展示会やB2B商談会への参加を支援している。韓国企業の商品をベトナムの小売、ディストリビューター、ECなどにつなげるのが目的。化粧品や食品などを対象に韓国企業を募集し、ベトナムの流通企業・ベンダーとの輸出商談、流通網への導入、オフライン販促まで支援する事業を積極的に実施している。単に輸出支援だけではなく、すでにベトナムへ進出している韓国企業への経営・マーケティング支援や、現地で生じる問題への対応も行っている。

 展示会出展については、大きな部分を占めるのが補助金制度だ。Vietbeautyへの出展もそうだが、KOTRAがパビリオンを形成し、ベンチャーなど中小企業への出展を募集し、補助金を出している。韓国企業への補助金については、対象企業により支援内容もケースバイケースで設定している。補助率は0%から最大100%まで大きな幅がある。事業内容や企業の財務状況、他の政府支援との重複受給状況を確認した上で決定する。平均すると必要経費の30%〜50%をKOTORAが負担するケースが多い。一律の基準はないため、資金力のない中小企業にとっては事前に正確な支援額を把握することができず、予算の見通しが立てにくいという面がある。その点では、海外進出の障壁となるケースも考えられる。

-出展支援に留まらないサポート

展示会出展にあたり、現地ベトナム市場やトレンドについて事前にレクチャーを行うセミナーを開催している。単に出展するのではなく、現地の市場ニーズを踏まえた提案準備を促すことで、会場でのアンマッチを防ぐ取り組みを行っている。特に気にしているのがバイヤーとのマッチングだ。展示会の最大の目的であるバイヤーとのマッチングについては、KOTRAも積極的に関与する。KOTRAが保有するバイヤーリストとネットワークを駆使し、出展企業とのマッチングを促進させる取り組みを行っている。

また、独自のイベントも実施しており、今年もハノイでKorea Brand & Entertainment Expo(KBEE)を開催した。韓流博覧会のようなイベントで、K-POPやKコンテンツの人気をK-Beautyなどの韓国製品の輸出につなげるのが目的。展示会出展社やその他の企業をこうしたイベントに参加してもらうことで、ベトナム市場への参加や輸出の促進を図っている。

-ベトナムにおけるK-Beautyの存在

ベトナムの消費者は単に製品を買うだけでなく、メディアやSNSを通じて「韓国文化を体験すること」が消費の目的となっている。ドラマやK-POPの影響が大きい。また、韓国での人気小売店「Olive Young」の影響も強く、ベトナムには実店舗がないにもかかわらず、現地の若者は「Olive Youngで販売されているかどうか」を製品購入の際の信頼性や人気の指標としている。トレンドについては、以前はスキンケア(クリームやトナー)が中心だったが、現在はリップなどのメイクアップ、カラーコスメにも関心が出てきている。市場シェアについては2024年の実績として、ベトナムの美容製品輸入相手国は1位が米国、2位がシンガポール、3位が韓国となっている。

-ベトナム市場への参入障壁と価格競争

韓国の化粧品ブランドがベトナムに参入する際、ハードルとなるのが激しい競争と価格調整。現状では、市場は飽和状態になりつつあり、差別化が困難となってきている。また、ベトナムの物価水準に合わせて販売価格を下げる必要があり、利益率が圧迫されるのも課題だ。高額商品をターゲットとしたプレミアム市場もあるが、明確な差別化ポイントをつくることが必要となってくる。韓国では、COSMAXやKOLMAR KOREAなど、大きな売上を誇るODMメーカーが存在しており、個々のブランドだけではなく「原料・処方開発―OEM/ODM生産―デジタルマーケティング―越境EC―海外流通」までが一体化した産業構造が強み。今後は、プレミアム市場でどのようにシェアを獲得していくかが、市場拡大のカギとなる。

行政・業界ニュース

企業ニュース

特集

PAGE TOP