加齢とともに体内で低度の炎症反応が持続する「慢性炎症」。自覚症状が無いままに全身の組織を傷つけ、がんや心血管疾患、糖尿病、神経変性疾患など、幅広い加齢関連疾患の発症基盤になることが指摘されている。慢性炎症は、老化と炎症を組み合わせた「インフラメイジング(炎症老化)」とも呼ばれ、健康寿命の延伸を目指す「ロンジェビティ」分野でも、近年重要な研究テーマとして浮上している。老化の生物学的メカニズムを整理した国際的枠組み「エイジング・ホールマークス」では、2023年の改訂で慢性炎症が独立した指標として追加された。海外のサプリメント市場では、オメガ3、クルクミン、ボスウェリア、ポリフェノール、プロバイオティクスなどを用いた炎症対策が広がっている。一方国内ではこのほど、森永乳業がビフィズス菌と免疫細胞の炎症応答性との関係や老化速度減速の可能性に関する新知見を発表した。慢性炎症を共通のターゲットに、関節やメタボ対策、脳機能や美容など、今後幅広いテーマを横断する新たな素材・製品開発が加速しそうだ。
細胞損傷と炎症が“老化ループ”を形成
炎症は本来、感染や外傷から体を守り、傷ついた組織を修復するための生体防御反応である。通常は原因が取り除かれると収束するが、加齢、肥満、ストレス、睡眠不足、運動不足、喫煙、腸内環境の
乱れなどが重なると、炎症反応が完全には止まらず、低いレベルでくすぶり続ける。慢性炎症が疾患を引き起こす背景には、免疫細胞から継続的に放出されるIL-6、IL-1β、TNF-αなどの炎症性サイトカイン
がある。これらが過剰な状態になると、活性酸素の産生が増え、DNAやタンパク質、細胞膜、ミトコンドリアを損傷する。
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