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【話題追跡】機能性のアピールで先行する“機能性野菜”続々登場

 食品の機能性表示の議論が進む中、機能性を高めた野菜が注目を集めている。
 生鮮野菜だが、植物工場による安定生産や各種の品種改良の進歩、成分の安定性と有用成分分析データの蓄積―― などを背景に、機能性のある美味しい野菜が続々登場。
 “機能性野菜”売り場を設けるケースなども広がり、「関心を持つ量販店」が増えている。
 機能性野菜に注目した健食受託加工メーカーの農業生産法人設立による産業振興も見られる。


 機能性野菜とは、野菜に微量もしくは全く含まない有用成分を、生産工程や品種改良などで含有した野菜の意。高含有例では、カゴメの「高リコピントマト」、村上農園の「ブロッコリースーパースプラウト」や「マルチビタミンB12かいわれ」、ドールが昨年上市した「機能性ブロッコリー」、タキイ種苗の「ファイトリッチシリーズ」などがある。低含有例では、低カリウムレタスなどを提案する会津富士加工の「ドクターベジタブル」がある。低カリウムレタスは、カリウムの摂取制限のある透析患者や腎臓病の食事療法などにも使用可能。2月には、低カリウムレタスを使用したプレミアムサンドが東京、千葉、茨城のミニストップで発売されている。
 村上農園では、体内の解毒酵素や抗酸化酵素の生成を促すファイトケミカルの一種、「スルフォラファン」に着目。高濃度含有の生産に関する特許を持つ米ジョンズ・ホプキンス大学とライセンス契約を結び、国内でスーパースプラウトを生産。02年10月には特許登録(日本国特許第3359642号)も取得済みだ。「生鮮品の野菜は、その多くが現物やビニール包装などで店頭に置かれるので、サプリメントのようにパッケージで説明できない。このため、差別化をポップなどで消費者にアピールできる機能性野菜に興味を持つ量販店が増えており、中には専用コーナーを設ける店舗もある」(村上農園・広報担当)という。
 機能性野菜専門店としては、デザイナーフーズ㈱運営の『ベジマルシェ』がある。2 万検体以上の分析結果を踏まえ、旬の野菜が持つ成分を「抗酸化系」「免疫系」「解毒系」に分類して販売。「女性誌を中心に抗酸化力、免疫力などの特集も頻繁に企画され、消費者の関心や知名度は高まっている」という。同社の機能性野菜は、がんの進行を抑える食事療法としても活用されており、2月開催された『IMEC(第10回統合医療展)』では、若松河田クリニック(東京都新宿区)院長の松岡瑠美子氏による、発芽玄米と同社の機能性野菜を活用し、がんの進行を抑制した事例が紹介された。
 機能性野菜による産業振興も。
 奈良県宇陀市では、機械開発・健康食品受託メーカーの㈲G-Laboと連携し、農業生産法人㈱健康野菜の宇陀農園を設立。2月28日、農水省の発表した6次産業化・地産地消法に基づく事業計画131件内でも認定された。今後、素材を栽培・収穫し、乾燥・粉末加工の後、サプリメント原料としての提供を目指す。
 昨年末には、“和食”がユネスコの世界無形文化遺産に登録され、菜食を中心とする日本食が見直される中、医療費の厖大化を防ぐとの期待もある機能性農産物は、今後も一段と注目を集めそうだ。

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