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【2月号連載】機能性食品開発のための知財戦略(2)
食品用途発明の最新報告〈2017年11月登録/公開〉

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

食品用途発明の最新報告〈2017年11月登録/公開〉
  特許業務法人ユニアス国際特許事務所 パートナー弁理士 春名 真徳

はじめに
本連載では、毎月、①新たに登録される食品用途の成立特許と、②新たに公開される食品用途の公開公報(出願から1年6月で公開される)とを、著者が集計して報告を行う。また、汎用性が高く、参考となる請求項の記載形式、特許明細書の記載形式、権利化手法などがあれば、簡潔に紹介を行う。

1.調査の方法
特許庁データベースを用いて、特許請求の範囲に、「…のための食品…、…用食品組成物、…改善剤」などの食品用途発明で頻用されている文言を含み、人体に対する機能性に関する用途が規定された特許を抽出する。厳密には特定保健用食品、機能性表示食品にてヘルスクレームとすることができない機能性(用途)や、認可され得ない成分についても参考となる限り、除外せず掲載している。

2.新たな成立特許の紹介
特許第6244594号 株式会社東洋新薬 株式会社エモテント
請求項1〜6において、「還元型コエンザイムQ10」及び「ザクロ果実エキス」の2成分を規定し、各請求項に「皮膚の老化抑制」、「皮膚のハリ改善」、「皮膚のたるみ改善」、「シワ改善」、「保湿」、「線維芽細胞増殖促進」との6種の用途を規定している。

本願明細書の実施例では、これらの用途の裏付けとして、健常者への実施例製剤の経口摂取を行い、各用途に対応する評価項目について、VAS(Visual Analog Scale)評価を行っている。また、「線維芽細胞増殖促進」用途に対しては、in vitro試験を行っている。

本件特許では、「皮膚の老化抑制」との拡がりのある用途から、「皮膚のハリ改善」、「皮膚のたるみ改善」、「シワ改善」、「保湿」との具体的な用途、「線維芽細胞増殖促進」とのメカニズムに着目した用途と、様々な観点から権利化を行っており、自社製品のアピール効果と他社への牽制効果において、利用しやすい権利となるものと考えられる。

「皮膚の老化」用途については、明細書において、皮膚の老化現象がどのような原因、メカニズムで生じ、どのような結果をもたらすのかを説明し、解釈の幅を拡げている。また、請求項7では、用途は規定せず、上記2成分の含有比率を規定することにより権利化を行っている。

用途を規定しない権利も同時に保持することにより、特定の用途が表示されていない製品や、別の用途が表示されている製品に対しても影響力を高めることが可能となり、有用である。明細書の実施例では、この請求項7を成立させるために、含有比率の条件を振って、水分量、吸湿の程度、味の変化、臭いの変化及び色の変化の観点から、組成物の安定性試験も行っている。

―以下、続きは月刊『食品と開発』2月号にてご覧ください。
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