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【12月号連載】機能性食品開発のための知財戦略(12)
食品用途発明の最新報告〈2018年9月登録/公開〉

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

機能性食品開発のための知財戦略(12)
食品用途発明の最新報告〈2018年9月登録/公開〉
・今号注目の機能性─筋肉サポートに関する用途発明
特許業務法人ユニアス国際特許事務所 パートナー弁理士 春名真徳

2.今号注目の機能性
筋肉サポートに関する用途発明
本誌10月号では、ロコモティブシンドローム対応素材の開発動向が報告されている。食品用途発明においても、骨、関節、筋肉サポートに関連する登録、特に出願案件は多く、各社が権利化を早急に進めている状況が窺える。

以下、これまでの連載から、成立特許事例と出願公開事例とに分けて、紹介する。

成立特許事例
特許第6339526号  アサヒグループホールディングス株式会社

【請求項1】ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)あるいはラクトバチルス・アミロボラス(Lactobacillus amylovorus) である乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を含有する、筋肉の分解抑制剤。

請求項1では、2種の乳酸菌による「筋肉の分解抑制」用途が規定されている。上記の他、請求項5において、同成分による「Atrogin-1の発現抑制」とのメカニズムから捉えた用途が規定されている(本連載9月号:表1(4))。

請求項2において、「ラクトバチルス・カルバタス CP2998株」、「ラクトバチルス・アミロボラス CP1750株」との菌株が限定されている。請求項1では、具体的な菌株に限定することなく権利化がなされている。

本件特許明細書にて「サルコペニアの予防・改善には運動や栄養摂取による筋肉の合成促進が着目されているが、内部環境から進行する筋肉の分解の原因を改善することで効率的なサルコペニアの予防が可能となる」との記載があるように、本件特許は、筋肉の「合成促進」ではなく、「分解抑制」に着目している。

実施例では、マウス横紋細胞であるC2C12細胞に、当該乳酸菌懸濁液を添加することで、筋肉の分解に関与する筋特異的ユビキチンリガーゼ遺伝子Atrogin-1の発現を抑制することを確認している。

Atrogin-1の発現抑制効果を、菌体抽出物でもin vitroにて確認していることにより、請求項1では、乳酸菌株だけでなく、処理物や抽出物へも権利を拡げている。

さらに、ラットにデキサメタゾンを皮下投与することによる、ステロイド筋萎縮モデルを用いて、当該乳酸菌懸濁液による筋肉分解抑制効果を確認している。

また、骨格筋の分化の指標として知られているMyogeninの発現量を確認することで、当該乳酸菌株が骨格筋の合成促進作用を有するものではないことを確認している。

特許庁の審査では、L. casei シロタ株のサルコペニア予防効果が引用文献にて示された。

意見書にて、L. casei シロタ株における「筋肉重量の増加」メカニズムに基づく作用と、本件発明の「筋肉重量の低下抑制」メカニズムに基づく作用との違いを「対比表」にて纏め、本件特許の2種の乳酸菌による独自の効果を分かりやすく説明している点が参考になる。

――以下、続きは月刊『食品と開発』12月号にてご覧ください。
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