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特集【塩】「こだわり塩」差別化提案広がる

食生活の変化や少子高齢化、料理をしない人の増加を背景に、家庭における塩の摂取量は年々減少している。こうしたなか、メーカー各社は、塩本来の重要性を訴求ポイントに、“こだわり塩”の商品開発に取り組んでいる。業務用では加工食品や外食・中食産業に向けた提案を強化。近年は食品加工メーカーとコラボした「塩フレーバー」商品も増加傾向にある。また、塩飴や電解質補給水など、熱中症対策としての塩の利用も普及しており、差別化提案の動きが加速している。

■家庭用6.1%減少、業務用4%増加
財務省が統計を出している「塩需給見通し」によれば、平成31年度の塩需給量は、「生活用」で14万トンとなり、前年比で6.1%減少した。主に小売店を通じて販売される家庭用のカテゴリーにおいて厳しい状況が続いている。一方、「業務用」(食料品その他の物質の製造、融氷雪用等に使用)は、200.3万トンで前年比4 %の増加。統計を取り始めた平成9 年度実績(150.6トン)と比較すると、「業務用」の需給量が確実に増えている。外食・中食産業、加工食品用途では、抹茶塩や岩塩等の“こだわり塩”を採用するケースも増えていることから、「業務用の売上に期待したい」とする塩メーカーも多い。業務用に活路を見出す動きは今後活発化するものとみられる。

■全塩種「値上げ」実施へ
家庭用・業務用のほぼすべての塩種が今年、値上げを行うことになった。収益を圧迫する物流コストや包装資材費の上昇、製造コストの上昇などが背景にある。値上げの影響について、4 月に10品の値上げに踏み切った企業によると「3 月までに駆け込み需要があった」としている。7月以降からも、大手メーカーを中心に続々と値上げに踏み切ることが確定しており、今後の市場動向に注目が集まっている。

■「しお公正マーク」1,600超え
塩の専売制度が平成9 年に廃止され、食用塩公正取引協議会が平成20年に発足した。2019年6 月17日現在、食用塩公正取引協議会の会員数は177社に。表示ルールに従った製品に付与される「しお公正マーク」承認アイテムは1,600点を超えた。同会によれば、「今後も増える見通し」としている。原産地や製法などの製品情報を公正に提供する取り組みは、行政からも高い評価を得ている。食品表示法の改正に伴う「食用塩の表示に関する公正競争規約施行規則」の修正にも、同会ではいち早く着手。今年は、「原料原産地名」「工程(くん煙)」などの変更点について、会員企業に協力を促している。

■業務用の差別化提案加速
各社が注力しているのが、業務用分野の拡大だ。業務用はこれまで、イオン膜メーカーが独占に近い状況だったが、自由化後は、消費者の嗜好変化も相まって、ストーリー性ある特殊製法塩に脚光が集まっている。食品加工メーカーでは、ポテトチップスをはじめとしたスナック菓子、ハム・ソーセージ、惣菜、パン、チョコレート・キャンディー、ドリンク、調味料など、プレミアム感を打ち出したこだわりの塩を採用するケースも目立つ。中食・外食産業では、洋食系レストランやドーナツやシュークリームを扱う店舗を中心に、海外輸入の特殊製法塩を採用するケースも。岩塩や抹茶塩など、こだわり塩を使用することによる付加価値づけや差別化を図る動きが加速している。

■熱中症対策アイテムが浸透
暑さが増す夏に向けて今年も熱中症対策が活発化する時期を迎えた。近年では塩分摂取の重要性が強調され、塩分補給を目的とした飲料等の利用が定着している。富山湾の海洋深層水を活用した塩・にがり製品を取り扱う五洲薬品は、電解質補給水『経口補水パウダーダブルエイド』を展開。水に溶かすだけで水分と電解質を効率的に補給できるとして、スポーツ愛好家からも高い評価を得ている。

 

本記事は「健康産業新聞 1667号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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