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【インタビュー】森永乳業、「シールド乳酸菌M-1®」
“おいしさと機能性の両立”で採用拡大

生菌ビフィズス菌「BB536」や「B-3」を手がける森永乳業㈱(東京都港区)が、2014年より本格的に原料供給を開始したのが加熱殺菌乳酸菌「シールド乳酸菌M-1」。同社が保有する数千に及ぶ菌ライブラリーの中から免疫活性の高い菌株として発見し、製剤化した。同社の高い販売力によりサプリメントはもちろん、一般食品への配合が一気に進み、「シールド乳酸菌M-1」のブランドを確立している。

―― 殺菌乳酸菌をはじめた経緯について

 井上 殺菌乳酸菌の取扱いを視野に入れた研究が加速したのは2010年以降です。生菌ビフィズス菌の「BB536」を幅広いお客様に採用頂いていましたが、研究所から販売部門に異動した私は「BB536」以外の新たな菌の開発の必要性も感じていました。丁度その頃は学会等でも殺菌菌体の機能性について研究成果が発表されていたこともあり、研究所主導で新菌株の研究を本格的にスタートさせました。一方、ビフィズス菌をお使い頂いているお客様から、「サプリメントや健康食品以外の食品にも配合したい」という要望が増えはじめたのもこの頃で、生菌素材だけでは今後の展開に限界が出てくるのではという危機感のようなものもあり、殺菌菌体の開発に着手しました。当社の数千株の菌ライブラリーから免疫活性を指標としたスクリーニングによって見出したのが「シールド乳酸菌M – 1 」(Lactobacillus paracasei MCC1849)です。

 

藤田 今年で発見から50周年を迎えるビフィズス菌「BB536」に代表されるように、当社は長年にわたり生菌に注力して展開してきた企業でもありますので、殺菌乳酸菌の事業化については色々課題もありました。

井上 お客様のニーズや新たな事業展開の必要性という両面の観点から殺菌乳酸菌の事業化は必須と考えていましたが、“菌は生きてこそ”という強い思いももちろん当社には根強くあり、社内説得に奔走したことを覚えています。ターニングポイントとなったのは、自社の研究によって殺菌菌体の摂取でも有効性が確認できたことです。インフルエンザウイルス感染の軽減作用や、腸管での感染防御に寄与するIgA産生の促進効果など、具体的なエビデンスを突き止めたことが大きな後押しとなりました。時代のニーズや有効な菌の発見、エビデンスの取得、あらゆる要素のタイミングが合ったことをキッカケに、事業化に踏み切りました。

―― 「シールド乳酸菌M-1」の販売状況について

井上 販売開始当初は、お客様にしっかりとした説明が必要であると感じていました。まず、殺菌菌体でも効果があるということ。これは、世間的にも殺菌菌体の生理効果が発表されていたこともあり、理解は得られやすかったと思います。もう一点は、当社が生菌の良さを訴求してきた経緯から、殺菌菌体を提供することによるある種矛盾とも取れることに対する説明です。殺菌菌体の取扱いを始めたことで生菌からシフトしたと思われるケースもありましたが決してそうではなく、生菌には生菌にしかできない事があり、殺菌菌体には殺菌菌体の良さがある。生菌、殺菌菌体それぞれの良さを際立たせることに注力してきました。こうしたことを丁寧に実施してきたことで、お客様の納得と理解を得られたと感じています。また、「シールド乳酸菌」というネーミングも拡販を後押ししました。食品メーカー様の採用をキッカケに注目され、当初想定していた計画を倍以上上回るスピードで普及してきました。
アレルゲンフリーであることに加え、1 日摂取目安量が20mgと少量で済むことが評価され、現在も採用は拡大しています。特に近年では、サプリメントと一般食品の境目がなくなりつつあり、“おいしさと機能性の両立”をテーマに幅広い提案を進めています。

―― 今後の展開について

藤田 ビフィズス菌や乳酸菌ニーズの高まりを受け、菌体製造の新工場の建設に着手しました。来秋稼働予定で、生産能力は2018年度比で約2 倍となる年間150tを見込んでいます。さらなる拡販に向けて、国内市場のみならず海外展開にも注力していく予定です。「シールド乳酸菌M-1」は、菌体事業拡大のための入り口と捉えており、当社では生菌も含め今後はプレバイオティクスの有用性も交えた幅広い事業を展開していきます。

 

森永乳業㈱  営業本部 食品素材統括部 食品素材 マーケティンググループ マネージャー  井上裕美氏

 

 

 

森永乳業㈱  営業本部 食品素材統括部 食品素材マーケティンググループ  藤田真奈美氏

 

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