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今年度中に機能性表示で「事後チェック指針」

ビジネスも健全に回らないと、最終的には消費者の利益にならない――19年8月に消費者庁食品表示企画課長に就任した五十嵐麻衣子氏は、昨年行った本紙インタビューにこう語った(本紙19年11月6日号に掲載)。運用改善が進む機能性表示食品制度では、事業者の予見性を高めるための事後チェック指針が今年度中に示される。こうした中、業界団体が機能性表示食品の公正競争規約づくりに着手。規約が策定されれば、それを順守している限り、原則として景品表示法問題とされることはなくなり、企業は安心して事業に専念できる。消費者庁と業界団体は月1回ペースで対話の場を持ち、コミュニケーションをとっている。行政と業界が、ともにより良い方向に変わりつつある。

■機能性表示食品ガイドライン、第4次改正など

2019年のトピックスとしては、①機能性表示食品ガイドライン第4 次改正など、②食薬区分の改正と運用改善、③プエラリアなど「指定成分」、④国民生活センターの崩壊性試験テスト、⑤「規制改革実施計画」閣議決定、⑥業界団体の公正競争規約策定の動き――などが挙げられる。

多くが2020年以降にも影響してくる動きであり、規制強化もあれば規制緩和もある。2020年に備えるため、改めて2019年の動向を振り返る。19年3 月26日に届出ガイドラインが改正され、制度の対象が拡充。「鼻目のアレルギー」「尿酸値」で軽症者データが利用できるようになった。健常者と軽症者で機能性を確認する場合、被験者のおおむね半数以上が健常者であることを条件とする。

また「認知機能領域」で、軽度認知障害(M C I )を境界域とし、健常者に含めることになった。食品CROによると、制度の拡充を受けた試験が走り出しているという。ガイドライン改正と同時期に、届出データベースを改修。これによってエキスの届出が可能になった。撤回情報に絞り込んだ閲覧もできるようになっている。販売状況も示されるようになった。

19年7 月1 日には、機能性表示食品の届出を公表または差し戻しするまでの期間を短縮する新たな運用改善目標を発表。届出に不備がない場合の公表を、これまでの55日から50日に短縮した。ゾロ品は30日以内に公表する。差し戻しをする場合も同様の期間に行う。

■食薬区分の改正と運用改善

19年 3 月15日に、食薬区分に関する新解釈が厚労省から通知された。これは「医薬品リスト」成分を条件付きで機能性関与成分に利用できるようにするもの。医薬品リスト成分をもとから含む生鮮食料品の機能性表示への道が開かれた。当該医薬品リスト成分を抽出・濃縮・純化目的で加工していなければ、加工食品も同様の扱いとする。γ-オリザノールなどの機能性表示が業界では期待されている。

19年3 月22日には食薬区分そのものが改正され、①ホタテ貝殻、②β-アラニン、③ 2 -フコシルラクトース―― の3 成分が新たに「非医薬品リスト」に加わった。6月4 日、都道府県に②と③の食品衛生法上の取り扱いを通知。食品添加物に該当する可能性があるとして、輸入・販売・製造などを行おうとする事業者がいる場合、使用目的や食経験等の資料を食品基準審査課添加物係に提出し、食添該当性の判断を受ける必要があるとした。

11月18日には次期改正案が示され、テフ(果実)、NMN、ニコチンアミドリボシドクロライドが「非医薬品リスト」候補として挙がった。意見募集は12月17日に締め切られており、その内容を踏まえて改正が行われる。このほか19年 9 月30日、新規成分の食薬区分判断に関する資料を提出した企業を対象に、相談窓口を国立医薬品生研究所に設置。これまで判断に関する食品衛照会・回答等のやり取りは都道府県を介して行われていたが、今後はこの相談窓口で直接受け付ける。ただ、資料提出前の企業からの事前照会は、この窓口では受け付けない。

■プエラリアなど「指定成分」

厚生労働省は19年12月3 日に、コレウス・フォルスコリー、ドオウレン、プエラリア・ミリフィカ、ブラックコホシュの4 成分について、特別の注意を必要とする「指定成分」とすることについて意見募集を開始した。これらの成分を含む食品で健康被害が発生した場合またはそのおそれがある情報を得た場合の報告制度も創設する。意見募集を踏まえて2 月をめどに告示・公布、今年6 月1 日から施行となる。さらに「指定成分」を含む食品の製造・加工基準を設定。成分や規格などを定めた製品標準書の作成や、製造手順等についてのバリデーションを規定する。こちらも今年2 月に告示し、6 月に適用する予定。

本記事の続きは「健康産業新聞1683号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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