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健康食品で意識変容を(連載/オピニオン)

 

10月23日にまとまった2020年版厚生労働白書が、平成30年間の変容をまとめるとともに、令和時代の方向性を示していて興味深い。

当然、コロナによる影響についても様々な言及がなされている。「この感染症がもたらす大きな社会の変化が予感される」と。全体で約500ページのボリュームだが、各種の図表をふんだんに掲載しているほか、テレワークの事例や、A Iなど導入が進む新技術の解説もあり、読み応えのある内容となっている。白書では平成の時代について「急激な高齢化が進行した30年であった」と指摘する(白書全文はこちらからDL可能)。

少子高齢化問題は、コロナ前から我々の前に横たわっていた現実である。1990年に12.1%だった高齢化率は、2019年に28.4%となった。高齢化率は2040年に35.3%になると推計されている。平均寿命はこの30年間で5年以上延伸した。2040年に65歳となる男性の約4 割が90歳まで、女性の2割が100歳まで生存するとみられている。

白書でも触れているが、人生100年時代には、「健康寿命」を延伸させることが何より重要だ。

ただ、言うは易しで、「健康寿命の延伸」に向けた行動変容を促すのは並大抵ではない。2面で報じた国民健康・栄養調査では、男性の16.5%、女性の10.7%が、食習慣を改善することに関心がないと断言した。「関心はあるが改善するつもりはない」を加えると、その数値はさらに増える。

注目は、健康な食習慣の妨げとなる点についての回答である。最も多かったのは、「特にない」で、男性36.0 %、女性34.6%だった。まさに“無関心”である。次いで「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がない」(男性25.1 %、女性29.6%)、「面倒くさい」(男性23.5%、女性26.8%)と続く。この状況・認識を変えるのはそう簡単ではないだろう。抜本的な対策が必要だ。

過日、“ポテサラおじさん”が話題になったことは記憶に新しい。惣菜のポテトサラダを買おうとした子連れの女性に、見ず知らずの男性が「母親ならポテサラぐらいつくったらどうだ」と言い放った。この男性の発言は世間の猛反発を浴びたが、背景には手作りでなければ手抜きとの偏見があり、また効率化を良しとしない風潮がある。

この事例を挙げたのは、健康食品も同様に見られることがあるためである。足りない栄養素を補う目的でも、健食否定派は「バランスの良い食事が基本」と言ってサプリを全否定する。是か非かの二元論ではなく、状況に応じて「普段の食事+健康食品」の組み合わせを取り入れる柔軟な思考が必要だ。

今やスマホアプリで不足栄養素がわかる時代である。不足栄養素にとどまらず、年齢に応じた健康の悩みに、個人に適した健康食品を推奨する。これによって、「時間がない」「面倒くさい」は解決できる。

弊紙が声高に叫ばずとも、すでに実践されている方も多数おられるだろう。それが国民健康・栄養調査の「健食摂取率3 割」に表れている。健康寿命の延伸には、行動変容だけでなく、古い価値観を捨て去る意識変容が必要だ。

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