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特商法にも電子化の波 コロナ禍で進むデジタル議論(連載/話題追跡)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴いWEB会議やWEB配信など、従来になかったコミュニケーションが定着しつつある。国会では行政手続きのハンコ押印について「99%が廃止できる見込み」と発表するなど、デジタル化議論を一気に推し進めている。こうしたなか消費者庁は1月、特定商取引法や預託法のデジタル化を盛り込んだ法改正の準備を進める意向であると発表。改正後は、現在紙で消費者に渡すことが義務づけられている訪問販売などの契約書が、電子データでやり取りされるようになるという。

新型コロナウイルス感染拡大に影響し社会様式が様変わりするなか、行政主導によるデジタル化への移行が進められている。

内閣官房IT総合戦略室は昨年7月、“デジタル強靭化社会の実現”を掲げ、テレワーク等の推進とデジタル時代に向けた規制・制度の見直しの観点から、書面主義、押印原則、対面主義の廃止意向を発表した。

ビジネスシーンにおいては、請求書や領収書のデジタル化、キャッシュレス化、税・社会保険手続の電子化・自動化を進めている。

こうしたデジタル化の波は健食業界にも波及。

1月には消費者庁が特定商取引法(特商法)や預託法のデジタル化を含む法改正を進めていることを発表した。

現在は書面に限られている訪問販売での契約書について、消費者が承諾すれば電子書面でのやり取りを可能にする意向であると明らかにした。

電子化について消費者庁では、「デジタル化は事業者の事業活動の発展や効率化を図るほか、消費者の利便性向上、トラブルの防止やさらなる被害救済による消費者保護につながる」と説明する。

実際、コロナにより訪問販売ができない事業者は、ZOOMなどのオンラインツールを利用して商品の説明を行うなど、新たな取り組みに着手しており、契約書のデジタル化が実現すれば、よりスムースに販売が行えることなどが想定される。

一方で、デジタル化によるトラブル増加を懸念する声も。2月4 日、内閣府消費者委員会は「特商法、預託法における契約書面の電磁的方法による提供についての建議」をまとめ、提出した。

委員からは「クーリング・オフ期間の起算点を明確にするべき」「電話や口頭のみでの承諾取得や、ウェブ画面での承諾取得についてはガイドラインで明確化すべき」など、不安を危惧する声が多く寄せられた。

デジタル化実現には“消費者の承諾”と“事業者の立証責任”が争点になるとみられる。

デジタル化について訪販メーカーの見解は。数社への聞き取りでは「顧客の大半が高齢者。電子化を望まれないケースが多いので従来通り書面で行うと思う」「詐欺への懸念が強まるので積極的な案内はしないと思う」「対面機会が減ることで、通販化の傾向が強まり、メリットがない」などの声が聞かれた。

消費者庁は3 月中にも改正法案を提出する考えで、「具体的な消費者保護策は法案成立後、政省令やガイドラインなどで整備する方針」としている。

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