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アルツハイマー治療薬承認と食品の過小評価(連載/オピニオン)

今月8日、国内製薬大手のエーザイが米医薬品大手バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病の新薬が米国FDAに承認された。

アルツハイマー病の根本治療薬としては世界初となる。新薬承認のニュースはTVやWEB、スマホの速報通知にも出てくるなど、大きな関心が寄せられている。エーザイの株価は今年最高値を更新するほどの影響だ。

承認されたアルツハイマー病治療薬「ADUHELM™( アデュカヌマブ)」は、認知症発症、進行の原因とされるアミロイド-βを取り除く治療薬。エーザイが過去に開発した「アリセプト」は対症療法型治療薬だったことに対し、アデュカヌマブは抗体医薬品となり、根本治療への期待が高まる。

現在、認知症患者は国内で約600万人、世界では約5千万人にのぼるといわれ、そのうち約7割をアルツハイマー型が占めるとされる。認知症患者数は年々増加傾向で、対策が急がれるなかでの今回の発表に歓喜の声も上がっていることだろう。

ただ一方で、各報道をみると承認に懐疑的な声もある。治験対象者が軽度認知障害(MCI)や軽度のアルツハイマー病であることに加え、複数行われた最終段階の治験のなかには、患者の認知機能の低下を抑える効果が確認できなかったとも。承認に先立って昨秋行われたFDAの諮問委員会でも有効性の確認が不十分だと指摘されていた。

そのあたりも踏まえてか、同薬については今回の承認後も追加の治験を通じ、有効性を改めて確認する見通しとなっている。

これらの情報を踏まえると、気になるのが食品の効用だ。今回キーワードとなっているアミロイド-β、実は食品による対策研究や社会応用はもっと早かった。代表的な素材のひとつであるプラズマローゲンは、20世紀末に米国でアルツハイマー病患者の解剖された脳で減少していることが明らかになり、以降カナダや日本国内でも⽣存中の患者⾎液で減少している事が確認されている。

プラズマローゲンの減少とアミロイド-βの蓄積が相関していることがわかると、2009年には九州大学の研究チームが中心となって高純度のプラズマローゲンの大量抽出・製造を実現した。2015年にはサプリメントにも応用されている。

プラズマローゲンの作用はアデュカヌマブ同様、アミロイド-βの生成予防、蓄積抑制だ。現在では、機能性表示食品として「認知機能の維持」の表示も可能となっている。アデュカヌマブも現時点では医薬品としての実力は未知数であり…

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