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【主張】消費税前の駆け込み、値上げラッシュが

 アベノミクスの景気浮揚策の影で、食品メーカーの環境の厳しさがクローズアップされている。背景には大幅な円安、輸入相手国の加工費や人件費の高騰、輸出国の国内需要の拡大に伴う原料・素材の値上がりがある。輸出産業とは逆の厳しい環境が広がり、その上で秒読みの4 月の消費増税を迎えようとしており、値上げラッシュが続くものと見られる。
 このところ食品素材メーカーの20%程の値上げ発表が速報紙面で相次いでいる。年初から乳製品やパン、植物油などの値上げが相次ぎ、天候異変で農産物、畜産品の高騰も日常的になるなかで、先延ばしとなってきた素材メーカーの価格見直しも目立っている。「消費税増税前に値上げを終了していないと消費増税後の値上げはさらに難しくなる」との判断も働いており、今後も消費増税前の値上げラッシュが続くとの予想だ。その後は最終商品で吸収出来ないコストアップに、もう一段の値上げとなるのか、産業界を暗雲が包んでいる。


 昨年、アベノミクス効果で円相場は、70円から100円台へとなり、輸入業者は自動的に5 割程の値上がりを飲み込んできた。昨年の緊急値上げでは対応ができず、原料輸入価格の値上がりなどもあり、ここで第2 、第3 の値上げに踏み切るケースも。背景には、原料供給国である中国やインド、東南アジアの経済成長が大きく、人件費・加工費の高騰、国内向けの需要拡大、国策としての原料での輸出制限などがあり、漢方生薬系では値上げ幅が5 割から倍増しているものもザラで、関係者からは悲鳴に似た声も。農水省では緊急対策として、薬用植物原料の今後の高騰もにらみ、国内生産の拡大に動き出してはいるが、商業ベースでの実需への対応は、4 ~ 5 年先の話でもあり、特効薬にはならない。
 さらに、流通のグローバル化で、中国や韓国、インドなどの原料・素材メーカーが直接日本市場に売り込むケースも増えており、単純な値上げでは市場を失いかねないわけで、前門も後門も価格攻勢に翻弄されるケースが広がっており、コストアップの続く食品分野はアベノミクスを歓迎してもいられないという状況にある。大手素材メーカーの値上げ表明が続いていることから、3 月は中小企業の駆け込み値上げが続くのか? 消費税問題とともに、頭の痛い季節である。

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