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「健康格差の縮小」に課題

年収低い世帯、健康的な食事への関心低く
 所得や暮らし向きによって、健康に配慮した食事への関心度が異なることが、「日本人の食生活の内容を規定する社会経済的要因に関する実証的研究」(研究代表者=新潟県立大学教授・村山伸子氏)の2013年度研究報告書でわかった。
 健康日本21(第2 次)では、健康寿命延伸と並び「健康格差の縮小」が最上位目標に設定された。しかし、食生活に経済的格差があることが報告されている欧米に比べて、日本ではそうした実態報告が少ない点が指摘されている。研究では、食生活への社会経済的要因の関与を明らかにするため、既存データベースや実態調査に基づく分析を行った。


 2010~2011年の国民健康・栄養調査のデータベースを分析した結果、世帯の年収が低い世帯は、「穀類」「砂糖・甘味料」「卵類」の摂取量が多い一方、「野菜類」「果物類」「きのこ類」「魚介類」等の摂取量が少ないことが分かった。
 「世帯の年間収入が少ない」「暮らし向きにゆとりがない」場合、食品の選択時に重視するのは価格や量、大きさ。おいしさや産地、栄養価などは必ずしも重視されていない実態が浮かび上がった。こうした層は、食費の節約には関心があるものの、「健康に配慮した食事への関心は低いことが分かった」としている。
 報告書によると、米国では低所得層に向けた「食料支援プログラム」で栄養教育を行い、限られた予算内で食生活指針等に沿った食事が実践できる支援プログラム「SNAP- Ed」が実施されている。
 報告書では、「今後、経済格差の縮小を実現するための社会環境の整備における栄養・食生活支援の取組みにおいては、経済状況や主観的な暮らし向きへの配慮は不可欠である」としている。

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