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【主張】二分脊椎症、くる病の発症リスクの増加、健康博で緊急セミナー

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過剰症、欠乏症、いずれも科学的議論を

 食安委の「サプリメントは有害無益、ビタミンは過剰摂取のリスクあり」とする唐突な発表の後、米医学誌JamaNeuloogyは 3 月「妊婦のビタミンD欠乏状況が、子供の多発性硬化症発症リスクを高める」などの論文を公表。
 産婦人科学会などが主催する 3 月 5 日の社会連携構築シンポでは、早稲田大学の福岡秀興氏が「妊婦の低栄養と子供の生活習慣病発症リスク」について講演している。現実はビタミン欠乏と疾病の増加との関係の解明に突き進んでいる。


 健康博でも「日本人はビタミンDが不足している」「葉酸欠乏とは何か」などのテーマでセミナーが行われ、改めて、栄養成分の欠乏による二分脊椎症やくる病の発症リスクの増加が指摘された。
 ビタミンDでは、福岡氏が「妊婦の葉酸やビタミンDの摂取不足が、妊婦自体のくる病や、妊娠糖尿病につながる」ことを解説。「母乳の栄養が新生児の健康状態を左右する。栄養を中心とした社会の取り組みが重要」とした。一方、大井静雄氏は「葉酸欠乏による無脳症・二分脊椎症の現状や葉酸摂取の重要性」について解説。欧米に比べ、日本の葉酸摂取に関する情報が乏しく、未だに二分脊椎症の発症率が増加傾向にある状況などを解説した。
 今回の報告を待つまでもなく、経済格差の拡大で、子供の貧困など十分な食事ができない乳幼児、児童が増加し、ビタミンやミネラルなどの栄養欠乏を生み出していることはわかる話だ。国民栄養調査からも「所得格差が健康格差」(本紙)につながっている事や、朝食欠食が20代、30代で増加している事態も明らかになっている。
 食安委がなぜ、冒頭にあるようなメッセージをこの時期に出したのか、科学的合理性もなく、米国の事例や中国のサプリメントによる被害情報など、新規性のない情報をかき集めての提言であったが、軽率な報告が学校教育でも、栄養学でも基本になるビタミンやミネラルの研究や学習に与える負の影響は大きい。過剰症であれ、欠乏症であれ、科学的な議論をするには、基礎調査が求められているわけで、「データがない」などでは済まされない話だ。

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