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【4月号連載】機能性食品開発のための知財戦略(4)
食品用途発明の最新報告〈2018年1月登録/公開〉

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

食品用途発明の最新報告〈2018年1月登録/公開〉
特許業務法人ユニアス国際特許事務所 パートナー弁理士 春名 真徳

はじめに
本連載では、毎月、①新たに登録される食品用途の成立特許と、②新たに公開される食品用途の公開公報(出願から1年6月で公開される)とを、著者が調査・分析して報告を行う。また、汎用性が高く、参考となる請求項や特許明細書の記載形式、権利化手法、知財戦略などがあれば簡潔に紹介を行う。

1.調査の方法
特許庁データベースを用いて、特許請求の範囲に、「…のための食品…、…用食品組成物、…改善剤」などの食品用途発明で頻用される文言を含み、人体に対する機能性に関する用途が規定された特許を抽出する。厳密には特定保健用食品、機能性表示食品にてヘルスクレームとすることができない機能性(用途)や、認可され得ない成分についても参考となる限り、除外せず掲載している。

原稿執筆時の関係上、本号では、2018年1月1日〜1月末日までに登録又は公開された特許案件についての紹介を行う。

2.今号注目の機能性
スポーツニュートリションに関する用途発明

本誌『食品と開発』2018年2月号では、スポーツニュートリションの最新動向が報告された。下記表1(※注:本誌『食品と開発』4月号の記事内に掲載)にて集計した成立特許では、筋合成や筋萎縮抑制等を用途として規定したスポーツニュートリション関連特許が多く抽出されたため、各成立特許の特徴を紹介したい。

特許第6270582号 小林製薬株式会社

請求項1では、植物原料であるアキノワスレグサによる「筋肉量増加」用途、請求項3では、同原料による「筋萎縮改善」用途が規定されている。

特許庁における審査では、新規性・進歩性を否定し得る文献は発見されず、本件は一発登録となった。原料と機能性の組み合わせ次第で、まだまだ食品用途発明が特許される状況が窺える。

明細書では、「筋肉量増加」用途について、コアアスリート向けだけでなく、加齢に伴う筋機能の低下にも向けられることが記載されている。また、「筋萎縮改善」用途については、ロコモティブ症候群やサルコペニア等も想定された記載がある。それぞれの用途が示す意味の拡がりについて丁寧な説明がなされている点で参考になる。

実施例において、「筋肉量増加」用途に対しては、ラットの腓腹筋(速筋)、ヒラメ筋(遅筋)、足底筋(速筋)、長趾伸筋(速筋)にて、上記原料投与による筋肉量の増加を検証している。「筋萎縮改善」用途に対しては、ラットのギプス処理による廃用性モデルを用いて、上記原料投与による筋肉量の回復を検証している。

複数の用途発明を権利化するためには、実施例において各用途の有用性を実証することが必要とされる。本件のように、各用途に適する評価系を選択することが重要である。

―以下、続きは月刊『食品と開発』4月号にてご覧ください。

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