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南アジアの成長が今後の食料需給動向のカギに

農林水産政策研究所は、12月4日に農林水産政策研究所セミナー「米国農務省及びIFPRIによる世界食料需給見通し」を開催した。登壇者は、米国農務省チーフエコノミストのセス・メイヤー氏と国際食料政策研究所(IFPRI)シニア・リサーチ・フェローのキース・ウィーブ氏。

セス・メイヤー氏は「米国と国際農産物市場の見通しと政策」と題し、近年の農作物の価格や供給状況について講演した。穀物に関しては、トウモロコシ、大豆、米、小麦に異なる傾向があるという。
●小麦 これまでアメリカにとって主要な生産物であったが、近年トウモロコシや大豆に取って代わられている。価格は下がっており、原因としてロシアが小麦をグローバルマーケットに大量に放出したことが挙げられる。
●トウモロコシ 2020年に価格の大幅な高騰があったが、今は落ち着いている。
●大豆 2024年にグローバルストックが大きく増えた。価格は少し下がってきている。
●米 価格は高止まり。インドが国政として米の生産・輸出をサポートしており、輸出量が大幅に増えている。
ただ、どの穀物もグローバルな視点で見ると市場の価格や供給量は安定的で、現状大きな懸念はないという。

キース・ウィーブ氏は「IFPRIの世界食料需給予測」と題し、食品需給の長期的な見通しについて講演した。ウィーブ氏が何度も強調したのは、IFPRIが行っていることは「予測」ではなくあくまで「見通し」であるということだ。IFPRIではIMPACTというモデルを使用し、320の地域、60の品目について、未来の生産・価格・貿易・消費などの見通しを作成している。
東アジア等は例外だが、世界的にみると、2050年までに人口増加とそれに伴った食料需要の増加が見込まれている。穀物の需要はあまり変わらず、果物や野菜の需要が最も伸び、続いて肉や卵の需要が増加するという。また、南アジアは、2050年のGDPが2020年比で296%になるとされ、あらゆる分野で成長が見込まれている。中でも米に関しては、ほとんどの地域でより多くを輸入に頼ることになる一方、南アジアは大きく生産量、輸出量を増やすと考えられている。

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