一般社団法人ウェルネス総合研究所は7月9日に、「世界長寿サミット」に関するメディア向け勉強会を開催した。
■世界長寿サミットの様子や京丹後の研究紹介

京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座 教授の内藤裕二氏は、6月16日~19日に京都府京丹後市で開催された「第一回世界長寿サミット」についての説明とともに、最新の老化研究に関する話題、2017年から行っている京丹後多目的コホート研究で分かってきたデータなどを披露した。
老化研究の進展により「老化」の概念が変わってきており、老化は予防や治療ができるという認識が広まりつつある。年齢に関しても、“暦年齢”ではなく、身体の細胞や組織の状態に基づいた年齢である“生物学的年齢”で捉えることが必要となってくる。
京丹後市における研究では、京丹後市の高齢者の血管年齢が全国平均より低いこと、運動習慣を持つ人が多いこと、腸内細菌では酪酸産生菌が京都市内住民と比較して多いことなどを紹介。
※世界長寿サミット宣言
世界長寿サミットでは「世界長寿サミット宣言」として4項目が挙げられた。
・絆を育み、コミュニケーションを絶やさないこと
・植物性たんぱく質や食物繊維の豊富な食事を、仲間と共に楽しむこと
・規則正しい生活と運動習慣を日々の暮らしに取り入れること
・感謝の心をもち、生きがいを感じる毎日を大切にすること
豊かな長寿社会を実現するために必要な心構えや過ごし方が盛り込まれた。
■ヒト由来ビフィズス菌の特徴と健康長寿社会への寄与

次に、世界長寿サミットに協賛・参加している森永乳業株式会社の研究本部フェロー 阿部文明氏が登壇。「健康長寿社会を目指すビフィズス菌の役割」と題し、ビフィズス菌の健康効果について詳しく解説した。
ビフィズス菌は腸内で乳酸と酢酸を産生する。酢酸は腸内で、腸の働きの活発化、悪玉菌を殺菌、善玉菌のエサ、肥満予防、免疫機能調節など様々に働く。とくに酪酸菌のえさになることで酪酸菌の増加にも寄与する。
ビフィズス菌はヒト由来と非ヒト由来の菌が存在するが、ヒト由来ビフィズス菌は非ヒト由来ビフィズス菌がほぼ作らない有用物質を作ることが知られている。なかでもILA(インドール-3-乳酸)は、腸内菌叢改善、腸バリア機能改善、免疫賦活、脳機能の健康など様々な効果が調べられている。
森永乳業の代表的なビフィズス菌BB536は、乳児から高齢者まで幅広い年代の腸内にみられるビフィズス菌で、高齢者に対する試験では便通改善効果、インフルエンザ感染防御機能が調べられている。同社ではさらにビフィズス菌MCC1274による認知機能維持効果も調べている。












