アイエンスは、有機排水の浄化効果を高める独自開発の排水処理散気管“アクアブラスター”を軸とした排水処理システム「AIS(アイエンス・イノベイティヴ・システム)」の提案を行っている。アクアブラスターは、管内部の突起状の羽根に激しく衝突させることで微細気泡を発生させ、高負荷の排水や循環水中の溶存酸素濃度を高めるもの。酸素を排水中に行きわたらせることで、微生物の好気呼吸を補助し、代謝及び生物分解能力を最大限にまで引き上げることで排水の浄化を促進する。使用後の排水は下水放流基準に適合し、さらに水中の懸濁浮遊物質も排水基準値以下に処理されるため、コストと手間がかかる汚泥処理の負担が大幅に軽減される仕組みだ。膜分離活性汚泥法にも親和性が高く、前段に設置することで膜処理の効果を最大限に引き出すことができるほか膜交換の頻度も抑えることができる。
AISは、アクアブラスターで粉砕撹拌曝気を行い、微生物に完全好気呼吸の代謝を促すことで、汚泥処理を必要とせず硫化水素など腐敗臭の削減を実現する。また、高濃度かつ負荷変動の大きい排水にも対応することから難易度の高い水質性状の現場にも数多くの導入実績をもつ。
最新導入好例として衆目を集めるのが四国化工機の手掛ける「さとの雪」ブランドの豆腐製造工場だ。全国初の常温保存可能な“ずっとおいしい豆腐”をはじめ、1日あたり25万丁の豆腐を製造する同工場では、タンパク質を多量に含む排水特有の腐食の速さと悪臭、さらに汚泥浮遊対策が課題となっていた。加えて同工場は河川放流を行う関係上、排水性状の厳格な規制値もクリアしなければならなかった。
同工場には2020年からアクアブラスターを調整槽と曝気槽に順次導入した結果、処理能力で導入前の2019年(1,500㎥)と比べ2024年には40%アップの2,100㎥に向上。現場を預かる同工場 生産規格管理グループ課長 住友秀明氏は、「導入以降、臭いや汚泥浮遊の問題、河川放流の規制値クリアに加え、処理能力がアップしたことでゆとりある操業につながりコストダウンを実現しています」と述べる。
また、アクアブラスターは水中に酸素を溶かす力が強く数値のコントロールが行いやすくなったことから、同氏は「近い将来、高額なAIに頼ることのない管理の完全自動化実現を目指しています」と展望を述べた。



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