成分規制への移行でカンナビノイド製品の品質管理が実務フェーズに入るなか、分析機器大手のアジレント・テクノロジー(株)(東京都八王子市、以下、アジレント)は、液体クロマトグラフ質量分析(LC–MS/MS)を中心とするアプリケーション提案を加速している。現場のニーズは「化粧品中のTHC総量把握」「原料アイソレート中の微量THC/THCA定量」に二極化。アジレントは前処理・分離条件のノウハウを組み合わせ、受託機関・化粧品メーカー・原料サプライヤーに横断的な支援を展開している。
同社は石川県警察本部 科学捜査研究所と共同で、グミ・クッキー・飲料など食品マトリクスにおけるTHC/THCA分析の検討・発表を実施済み。目的成分が微量で、脂質や糖類などの共存物質が多い実サンプルを想定した条件設計と妥当性評価を重視しており、学術的な再現性と現場適用性の両立を狙う。装置性能を前提に、試料に依存する部分(前処理、抽出、分離戦略、マトリクス効果対策)を“セット”で提示できる点が同社の強みだ。
問い合わせは化粧品分野で増加。とくにロールオンやバーム等の油脂系処方では、1 ppm前後の規格値を意識した測定体制の構築需要が顕在化している。原料調達面ではCBD/CBNが主成分のアイソレート中に潜むTHC/THCAのppmオーダー定量が焦点で、受け入れ検査の強化や外部受託ラボの選定基準高度化が進む。装置の“台数勝負”というより、社内測定体制の立ち上げと運用手順の平準化に投資が向かい始めているのが足元のトレンドだ。
アジレントは装置の感度・安定性に加え、 “製品中”で成立する条件パッケージの提示に力点を置く。測ること自体よりも、誰がどこで測っても再現できるかが競争軸という立場だ。












