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大腸に関する正しい知識と対策意識の向上を目的に、「大腸劣化」対策委員会設立セミナー開催

本年7月に発足した「大腸劣化」対策委員会は、大腸の役割や短鎖脂肪酸の機能など、大腸にまつわる正しい知識を広めるため、11日メディア向けセミナーを開催した。

セミナーではまず、委員会の発足メンバーである松井輝明氏(※1)と森田英利氏(※2)が挨拶。大腸と小腸の役割について区別できていない人が非常に多いこと、現代は腸内細菌叢のバランスが崩れがち(ディスバイオーシス)で、健康リスクが高いことなどを説明。研究会では「ディスバイオーシス」を日本語で分かりやすく「大腸劣化」という言葉で表すことにしたという。

講演内容まとめ
■松井輝明氏:「健康腸寿」=腸から考える健康長寿
腸内フローラの乱れは大腸の病気に繋がるだけでなく、脳、肌、消化系、代謝、免疫力など全身に影響を及ぼす。現代日本人の大腸は劣化しており、大腸がんやその他の疾病の増加を招いている。

劣化を起こす食生活として現在日本で流行している以下の3つを挙げた。
(トレンドも行き過ぎると腸内環境を悪化する要因となる)
・炭水化物抜き →食物繊維不足
・たん白質ブーム →悪玉菌のエサ供給
・さらなる食の欧米化 →悪玉菌のエサ供給

そもそも劣化の原因は、大腸内の「短鎖脂肪酸」不足。短鎖脂肪酸は、ビフィズス菌・酪酸菌が食物繊維をエサにすることで産生するもの(乳酸菌は短鎖脂肪酸を作れない)で、大腸内を弱酸性に保ち、大腸のエネルギー源となる。短鎖脂肪酸のなかでも酪酸は、大腸腸管上皮を覆う粘液(ムチン層)の分泌を促し、バリア機能を強化する。また、エサとなる食物繊維は、不溶性でなく水溶性食物繊維が大切。

「ビフィズス菌・酪酸菌 + 水溶性食物繊維」で「大腸活」を提案

■沢井 悠氏(※3):日本人の腸内フローラ実態について
サイキンソー株式会社では、腸内フローラ検査キット「Mykinso」を販売し、DNA解析による腸内フローラ分析を行っている。その蓄積したデータから、日本人の大腸劣化は既に4人に1人のレベルになっていることが見えてきた。女性よりも男性、年代別では20代とシニアになるにつれて悪化の傾向がある。さらに若年層ほど腸内フローラの多様性が低くなっていた。

ビフィズス菌の保有率と食事週間の関係を見たところ、牛乳・チーズの摂取頻度が高いほどビフィズス菌の保有率が高く、未精製穀物とヨーグルト類の両方の摂取頻度が高いほどビフィズス菌の保有率も高くなった。

また、高齢者に対するアンケートでは、フレイル状態では酪酸産生菌の保有率が低いことも分かった。

■関根嘉香氏(※4):腸内細菌叢と体臭の関係
人のにおいは、皮膚から活性する「皮膚ガス」の拡散による。「皮膚ガス」には3種類あり
・表面反応由来―2-ノネナール、ジアセチル、イソ吉草酸など、皮脂の酸化や常在菌の作用によるもの。皮膚の洗浄により落とすことができる。
・皮膚線由来―代謝や発汗によるもので、これも洗えば落ちる。
・血液由来―血液中にある揮発物質が表皮から出てくるもので、これは洗うことでは落ちない。

血液由来の中でもとくに代謝・運動・ストレスが要因とされるアンモニア(疲労臭)が問題。大腸内のアンモニア産生菌(悪玉菌)により産生され、肝臓で分解されて尿として排出されるが、腸内環境の悪化(アンモニア産生菌増加)や肝機能が低下すると処理しきれず、血中に流れる量が多くなり、その結果、皮膚から揮発する。

そこで、腸内環境を良くする(アンモニア産生菌を減少させる)ことが対策と考えられた。ラクチュロース(ビフィズス菌のエサとなる)を摂取した場合の試験では、腸内ビフィズス菌の増加、皮膚アンモニア放散量の減少が確認されている。

※1 松井輝明氏:帝京平成大学 健康メディカル学部 健康栄養学科 健康科学研究科 健康栄養学専攻長 教授
※2 森田英利氏:岡山大学大学院 環境生命科学研究科 教授
※3 サイキンソー株式会社 代表取締役CEO
※4 東海大学理学部化学科 教授  慶應義塾大学大学院 非常勤講師

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