食品素材の記事

原料不足・高騰を乗り切り、多彩な製品開発をサポートするフレーバー

フレーバーの動向は、加工食品の動きと連動する。コロナが開けて社会活動が戻るとともに加工食品の動きが活発化すると思われたものの、昨年からの様々な食品の値上がりに伴う買い控えも起こった。しかしここ最近は、消費者も食品の値上げを受け入れる環境となり、さらにメーカーも値上げによる利益率確保が奏功し、市場での製品開発の活発化がみえてきた。

ただし、原料によっては、収穫量の減少とそれに起因する高騰が大きな問題となっている。バターやオレンジは以前から問題視されているが、最近はカカオやコーヒーなども原産地の不作が世界的に影響を及ぼしている。

原材料の不足や品質のばらつきをフレーバーで補うということは以前から行われていたことだが、最終製品の価格をなるべく抑えながら、魅力的な製品を開発するためにも、フレーバーのサポートが重要になっていると考えられる。

なお、フレーバーのなかでも特に人気の高いバニラについては、ここのところ続いていたバニラビーンズの高騰が悩みの種であったが、マダガスカル政府による輸出価格の制限解除などもありバニラビーンズの価格自体は下がってきている。生産量にも問題なく、品質は落ち着いている状況のようだ。しかし、現地の人件費、エネルギー費、輸送費などのコストアップ、さらに今までの在庫もあることから、現状の価格から大きく下がることは考えづらい。

フレーバー各社の動きは「食品と開発」11月号(11月1日発刊)で掲載予定であるが、それに先立ち、ここでは横山香料の製品を紹介する。

横山香料では、バニラや乳系のフレーバーを得意とし、様々なタイプのフレーバーを取り揃えるほか、味や色にも効果のある食品素材など幅広くラインアップしている。

バニラは、天然バニラ由来のエキストラクトをはじめ、バニラエッセンス、バニラオイル、バニラパウダー、バニラシュガーなど多彩な品揃え。バニラに対する顧客・消費者の注目度は高く、バニラの調合香料はもちろん、天然バニラ由来の製品も改めて紹介していきたいとする。

香りとともに色と味も付与できる「フロランチーヌ強化シリーズ」は果汁や農産品などの天然素材を原料とした食品扱いの製品。アイテム数が多く、商品のバラエティ化や季節限定商品などに応用しやすい。ストロベリーやバナナなど代表的なフルーツの「強化果汁シリーズ」や、和栗、コーヒー、パンプキンなど幅広いアイテムをラインアップ。最近では、夏の定番フレーバーとなっているレモンや、メロン(赤肉、青肉)、抹茶などが好調に動いている。

着色効果を伴ったフレーバー製品はほかにも多数揃えており、色の付与により見た目が重要視される昨今では特に利便性が高く、評価されている。

また、カカオが高騰するなか、チョコレート製品に使用することで少ない原料や品質をカバーするためのフレーバーも提案中。スイートチョコタイプから、ミルクチョコ、ハイカカオチョコレート、ホワイトチョコ、フォンダンショコラなど様々なタイプを揃えている。

同社の特長的な製品としては、食品の風味を引き上げる天然香料製剤「ナチュアローム」シリーズがある。使用中の香料や素材の風味と合わさることで風味の底上げをするという新コンセプトの香料製剤で、製品のブラッシュアップやリニューアル時にも使いやすい。
ラインアップは4種類。特徴と推奨アイテムを挙げる。
①「ブラウン」 やわらかく深い甘みを表現し、煮詰めや焦がしなどの調理感を増す
メープル、黒糖、チョコレート
②「リーフ」 華やかな洗練された香り立ち
紅茶、緑茶、柑橘類
③「フルーティア」 みずみずしくフルーティーな風味を演出
フルーツ全般
④「クリーミア」 まろやかな乳味とコク深い乳脂感やボディ感を付与
乳製品、マンゴー、ピーチ
なお、「ナチュアローム」シリーズではさらに新製品も開発を進めている。

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