
会長 福士博司氏
(一社)日本食品添加物協会は15日、東京都千代田区の如水会館で令和7年賀詞交歓会を開催した。会場には関係省庁や協会会員など約360名が参集し、協会の方針が紹介された。
同協会の福士博司会長は冒頭の挨拶で、先行き不透明な国内外の情勢のなか、原料の高騰やエネルギー高騰等のリスクが生活や事業に様々な影響を与えている現状に触れ「安心安全な食品を作る重要性が増している」とし、紅麹サプリに起因した健康被害問題においても、紅麹原料とベニコウジ色素との違いについて関連する一般情報をまとめ、同協会HP上で情報発信を行ったことを報告した。また今年度の活動方針については「科学に基づいた継続的な活動」「グローバル規制への影響力発揮」「会員への的確な対応」を基本方針として、食品添加物のパーセプションに取組むとした。
とくに消費者目線でのコミュニケーションについて、「食品添加物は、その使用において、有効性と安全性が実証・確認されているという事実が消費者、学校関係者、報道関係者の方々に浸透するよう、引き続き、科学に基づいた啓発活動を展開していく」との意気込みを語った。
来賓代表挨拶では、消費者庁食品衛生・技術審議官の中山智紀氏、厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課長の森田剛史氏、内閣府食品安全委員会事務局長の中裕伸氏が登壇し、各省庁の最近のトピックや取組みを紹介。昨年4月1日から食品基準行政を担う消費者庁の中山氏は、科学的な立場は厚労省時代と変わらない旨を述べ、主導的な立場でリスクコミュニケーションを推進し、消費者の利益増進につなげていくこと、また第11版食品添加物公定書の作成に向けた業界への協力要請とともに流通実態のない既存添加物を消除する取組みについても「一定の区切りをつけたい」との見解を述べた。
食品の監視行政を担う厚労省の森田氏は、改正食衛法の5年間の経過措置期間(令和2年6月1日~令和7年5月31日)が最終年となる旨を述べ、HACCPに沿った衛生管理の実施、充実化に向けて業界で取り組んでもらいたいとの要望を述べたほか、政府全体で取り組む「2030年の輸出金額5兆円」について添加物の輸出の円滑化を図っていく旨を述べた。
食品安全委員会事の中氏は、発足以来、取り組んできたリスク評価が3300に上り、添加物についても300以上に取り組んできた実績を紹介したほか、最新トピックとして欧米で進むAIを用いた安全性評価に関わる取組みについて注視している旨、SNS等の普及を受け、食品安全に関する正確な情報を引続き発信していく旨を述べた。