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連載【追跡話題】好調化粧品業界に降って沸いた新型コロナ-設備増強の反動に懸念も-

経済産業省が2月17日に発表した生産動態統計の2019年12月の確報値をもとに、2019年1~12月の化粧品販売金額を合算した結果、約1兆7,593億円(前年比103.8%)となり、4年連続の成長となった。2019年は1月の中国のEC法施行や景気減退を背景に、インバウンド需要の鈍化や反動が懸念されていたが、フタを開けてみれば杞憂に終わったようだ。一方でこの間、各社では積極的に設備投資を実施。増強した生産キャパの維持・拡大に向けて動き始めた矢先、新型コロナウイルス問題が降り掛かっている。「この問題が長引けば相当のダメージになりかねない」とする声も聞かれる中、化粧品業界にとって今期は正念場になりそうだ。

客の増加と並行して2016年以降、大きく成長。2019年は1 兆7,000億円台に到達し過去最高を記録した。化粧品輸出金額も2018年には輸出が輸入の2 倍に達するなど、ここ数年、国産化粧品は中国をはじめ外国人ユーザーの購買に支えられている。2019年は当初、1 月の中国EC法の施行に伴うソーシャルバイヤーによる転売目的での購買や越境ECに対する規制、さらに中国景気の減退によるインバウンド需要の反動など、市場成長に水を挿す懸念材料も少なくなかった。実際、本紙が毎年化粧品受託メーカーを対象に実施している調査でも、2018年はこうした懸念を示すメーカーは少なくなく、2019年の業況に対し先行き不透明感が漂っていたが、結果的には前年比を超え、杞憂で終わったようだ。

2019年の化粧品販売金額の発表を受け、本紙が主要受託メーカーに調査した結果、「2019年前半は需要の継続が見られたが、後半は勢いに陰りが見られた」「この2 年と比較すると、成長率が鈍化している」との声が聞かれた一方で、「取引先は、越境EC事業者を通じて変わらず順調に動いている」「海外需要の拡大を受け、取引先が一般貿易に切り替えた」といったコメントも。また国内需要についても、Amazonや楽天などのネット通販、テレビ通販での売れ行きは順調に推移しており、「不況に強い化粧品」と言われる業界を裏付ける結果となっている。

とはいえ不安要素もある。化粧品業界では近年の市場急成長を受け、本舗はもちろん、受託メーカーや原料・資材メーカーまでが、新工場建設や製造ライン増強など積極的に設備投資を行ってきた。現在は化粧品や原料・容器・資材の生産キャパは大幅に増強したことから、全体的にタイトだった生産・供給体制も改善しつつある。生産量の拡大を見越して設備投資に踏み切った多くのメーカーにとって、今後の課題は拡大した生産ラインの維持だ。こうした中、新たに降って沸いた懸念材料が中国に端を発した新型コロナウイルスだ。各社からはイン・アウトバンド需要をはじめ、原料サプライチェーンの停滞などを不安視する声が挙がっている。ある受託メーカーの代表は、「この問題が長引けば、海外向けはもちろん、国内消費にも相当なダメージになりかねない」とコメント。化粧品業界にとっては今期こそが正念場になりそうだ。

本記事の続きは「健康産業新聞1686号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら

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