統合医療

「統合医療の研究予算、米国は日本の20倍」 ― 聖路加国際病院・福井院長

 先月25日に行われた、厚生労働省の「統合医療」のあり方に関する検討会において、参考人として招かれた(財)聖路加国際病院・院長の福井次矢氏は、「平成22年度厚生労働科学特別研究事業」における調査研究結果を元に、統合医療を巡る国際動向、安全性・有効性・経済性に関する評価方法の問題点について言及した。


 国際動向については、米国ではNCCAMは、統合医療における安全性を重視し、安全性や有効性についての研究を外部の研究組織や大学に依頼。患者に対してはEメールで質問に回答、医療従事者にはサマリーをウェブサイトに公表するほか、ニュースペーパーを発行するなど多面的に情報提供を実施していることを紹介。また、インドの医療体制は、西洋医学と伝統医学の二本立てで構成されており、「業界を巻き込んだ国策として統合医療を推進している」とした。
 また同氏は、RCT(ランダム化比較試験)について、全世界における件数(2010年データ)が1万5,000件を超えるなか、統合医療分野では7.6%にとどまり、日本では551件中17件であることを解説した。同氏は、統合医療分野に配分された研究費にも言及、「米国では日本の20倍の予算が計上されている。人口比を考慮しても6~7倍近い。日本の統合医療における予算は複数の省庁から配分されているが、それが故に、ポイントが絞りづらく、研究の方向性を見失っている感がある。一般消費者、研究者への情報発信の体制を整備するとともに、常任機関が必要だ」と強調した。
 検討会の焦点のひとつは「定義」。サプリメント、医療用漢方薬、指圧・マッサージ、温泉療法、森林浴、音楽鑑賞など、どこまでを統合医療に取り込むかが議論スタートの第一段階だ。検討会では、「統合医療とは何と何を統合するのか」「誰(国家有資格者など)が誰に対して行う療法なのか」「評価する基準を明確にするべき」「国内外のデータを整理して分析する必要がある」などの意見が飛び交った。

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