統合医療

「概念」明確化が急務も、議論進まず ― 厚労省「統合医療」のあり方検討会

 厚生労働省医政局は6日、「統合医療」のあり方に関する検討会(座長:(独)国立長寿医療研究センター総長・大島伸一氏)を開いた。
 「何が統合医療であるのかを区別し、線引きしないと検討会が先に進まない」とする一致した見解があるなか、統合医療の存在自体を否定するかの意見も。ファーストステップである「統合医療の概念」に関する議論が延々と進まない状況だ。


 冒頭、座長の大島氏は、米国、中国、韓国、インドなど、海外においては国策として統合医療への取り組みが進むなか、「日本でも民主党を中心に統合医療を推進する動きがあり、国策としての取り組みも期待されているが、着地点が見えない」とし、日本が統合医療後進国であることを指摘した。
 当面の検討課題は「統合医療の概念」「安全性・有効性評価」「推進するための取り組み」について。「何が統合医療であるのかを区別し、線引きしないと検討会は先に進まない」とする一致した見解があるなか、「統合医療」という文言自体に疑問を投げる声も。「“医療”ではなく“療法”とするべき」「医療従事者が行うものであれば“医療”で問題ない」など、さまざまな意見が飛び交った。
 まずはファーストステップである「統合医療の概念」を議論する前段階として、①統合医療(補完・代替医療)と言われている療法の区別、②提供主体の明確化――の 2 点が当面の議論の焦点となりそうだ。①については、はり・きゅう、各種マッサージからサプリメント、温泉療法、音楽療法など、20種におよぶ統合医療の療法のなかで、「一括して統合医療とするのは無理がある。どこかで線引きをしなければ」とする方向に。「海外各国を参考にするのはどうか?」とする意見もあったが、大阪大学大学院・医学系研究科の伊藤壽記教授は、「例えばドイツでは温泉療法が多くのエビデンスを有し、認知されている。しかし、その国ごとに事情があり、人種も異なる。日本独自の“統合医療”を作っていかなくては意味がない」と強調した。
 1・2 回目の論点整理の資料のなかには、近代西洋医学の課題として「がん等の慢性疾患については限界が生じている」「医療費の増大」などが盛り込まれた。(社)日本医師会副会長の羽生田俊氏は、「医療費の増大と統合医療の推進は関係あるのか」と追求。伊藤教授は、「医療費問題は避けて通れない問題であり、このままでは保険制度が破綻するのは明らか。統合医療によって、予備群を未病の段階でとどめる。必然として医療費の削減につながる」とした。また、列車事故の実例をあげ、「西洋医学では手がつけられない状況があるのも現実。その際、QOLを向上させるのは統合医療。西洋医学を否定している訳ではなく、統合医療がボトムアップの役割を担う」とした。

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