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米国NPE拡大へ、大衆化路線をまい進 -3,521社、8万5,000人が参加-

変貌する米国健康自然食品市場ーその変化を先取りしているのが、「ナチュラルプロダクツエキスポ(NPE)」である。2017年はホールフーズがアマゾンの傘下に下り、GNCも中国企業を筆頭株主にした。アマゾンエフェクトはその本拠地で、健康自然食品市場を席巻し始めている。しかし、飲み込んだ方が勝つのか、飲み込まれた方が勝つのか? NPEはそれらをひたすらに飲み込み、従来の健康自然食品の展示会からライフスタイルの展示会に変貌し、小売へも変化を促す。同展には出展企業3,500社、8万5,000人が来場した。

ナチュラルプロダクツ77_健康産業新聞1640

入場料は「7万円」

米国のNPE(ナチュラルプロダクツエキスポ)が3月7日から11日まで、アナハイムコンベンションセンターで開かれた。珍しく雨にたたられたが、期間中8万5,000人が来場、展示会やセミナーに参加し、ビジネス交流を進めた。来場者は顔写真付きのパスポートと展示会の入場許諾書を提示するなど、米国入国と同じ様な手続きを要求される。主催者の犬は空港の麻薬犬と同じように警備にあたっていた。

展示館もホールA、B、C、D、Eに北ホール1、2階、この他周辺のホテルも使用しているので、ホール毎に登録バッジとパスポートの提示を求められる。来場者には厳しく、入場料も、小売、卸以外では700ドルほど。それでも8万5,000人の関係者が集まる人気の展示会ということになる。

出展企業数3,500社余、新規600社越す

展示会は「サプリメント」「食品素材」「ライフスタイル」「有機」「ナチュラル・スペシャリティーフーズ」に加え、新顔向けの「ホットプロダクツ」のゾーンがある。サプリメントからオーガニックフーズ、化粧品、雑貨、水、スナックなどの商品が展示された。日本からも富士カプセルなどカプセル数社に加え、協和、太陽化学、カネカ、富士化学などの現地法人や日本企業がブースを構えた。最終商品でも、森永、カルビー、伊藤園、井村屋などが、それぞれ主力商品を紹介し、注目を集めた。各社は、アロエヨーグルトやスナック、ペットボトルの緑茶、和菓子などで、いずれも健康志向食品の訴求という感じ。この他にも、チョコレートや各種のスナック、オーガニックフーズや飲料、肉製品、チーズ、また、南米やインド、韓国などの料理、健康機器なども並び、ほぼあらゆる商品が並んだ。

ナチュラルプロダクツ2018_健康産業新聞1640

ナチュラルプロダクツエキスポ_健康産業新聞1640

同展のスタートは「サプリメントや自然食品」であったが、ゾーンの展開、ホールの増加に伴い、様々な商品が集まり、食品展やスーパーマーケット展の様相を見せてきた。ちなみに、今回の出店社は、3,521社、この内、新規出展が600社以上という点に、展示会の勢いが続く。

市場支える経済、社会環境

オーガニック市場は8.3%増の470億ドルと言われて、従来は、ホールフーズなどの専門量販店チェーンの扱いが大半だったが、最近では、ウォルマートなどの一般量販店にも、オーガニックコーナーが出来、全米に広がっている。無論一般の農産物に比べれば、シェアは一割程度とみられるが、オーガニック野菜はもはや自然食品店の独占ではなく、価格の低下も進んでいる。「NonGMOなどの食の安全を求める人々が、安心志向でオーガニックに動いている」(現地セミナー)との見方も。

また、70年代に、ベトナム戦争の反対を唱えたヒッピーがこれらの産業の中心にいて、WFMなどの自然食品量販店が相次いで誕生、経済的にも成長を遂げつつ、社会環境的にも、自然、健康、環境保護などの考え方を、学校教育などを通じ次世代に継承している。また、シリコンバレーに近い地域では、企業が多数の技術者を必要とし、世界から技術者が集まり、比較的豊かな生活を送る中で、店舗がインド料理やエスニック、韓国などの食品の品揃えを迫られ、展示会でもそうした傾向が見られる。

展示会は、IT企業などの人材確保の恩恵で、様々な商品を提供する場として、ライフスタイル関係の商品の増加を歓迎して、毎年多数の新規企業を受け入れ、成長を続けている。同展は2019年3月12日から15日まで、アナハイムコンベンションセンターで開催される。

本記事は「健康産業新聞 1640号」に掲載しています。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50ページ)定期購読のお申し込みはこちら

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