連載ー発明

【5月号連載】機能性食品開発のための知財戦略(5)
食品用途発明の最新報告〈2018年2月登録/公開〉

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

機能性食品開発のための知財戦略(5)
食品用途発明の最新報告〈2018年2月登録/公開〉
特許業務法人ユニアス国際特許事務所 パートナー弁理士 春名 真徳

はじめに
本連載では、毎月、①新たに登録される食品用途の成立特許と、②新たに公開される食品用途の公開公報(出願から1年6月で公開される)とを、著者が調査・分析して報告を行う。また、汎用性が高く、参考となる請求項や特許明細書の記載形式、権利化手法、知財戦略などがあれば簡潔に紹介を行う。

1.調査の方法
特許庁データベースを用いて、特許請求の範囲に、「…のための食品…、…用食品組成物、…改善剤」などの食品用途発明で頻用される文言を含み、人体に対する機能性に関する用途が規定された特許を抽出する。厳密には特定保健用食品、機能性表示食品にてヘルスクレームとすることができない機能性(用途)や、認可され得ない成分についても参考となる限り、除外せず掲載している。

原稿執筆時の関係上、本号では、2018年2月1日~2月末日までに登録又は公開された特許案件についての紹介を行う。

2.今号注目の機能性
美容・アンチエイジングに関する用途発明
下記表 1(※雑誌に掲載、本記事では割愛)にて集計した成立特許では、肌の健康に関する用途を規定した案件が多く抽出されたため、そのうち5件の特許の概要を紹介したい。各成立特許で規定される素材は、その素材の特性上、実施品(製品)となった場合には、飲食品の部類ではなく、皮膚に外用されるものが多くを占めるかもしれない。しかし、特許の権利としては、剤形を「外用」や「化粧料」等と限定されずに登録されているものが多く、この場合は、「経口」剤形も権利範囲となる余地がある。「経口」剤形を権利範囲に含めることを狙う場合には、in vivo試験による経口投与での効果の実証を行うことが重要である。種々の事情によりin vivo試験が実施できない場合、明細書中で飲食品への適用の記載を充実させたり、実施例において経口剤形(ドリンク剤、錠剤、カプセル剤等)の記載を充実させたりしている案件も多くみられる。

特許第6285598号 株式会社ノエビア
請求項1、2、3では、植物原料であるホッカイトウキ抽出物による「コラーゲン産生促進」用途、「熱ショック蛋白質産生促進」用途、「デコリン産生促進」用途が、それぞれ規定されている。

加齢と共に産生が衰え、皮膚の老化、特にしわの発生に関与するとされる「コラーゲン」、「デコリン」、「熱ショック蛋白質」に焦点をあてた用途発明である。

実施例では、調製したホッカイトウキ抽出物をヒト新生児由来皮膚線維芽細胞に作用させ、1型、3型及び4型コラーゲン、熱ショック蛋白質47、並びにデコリンの遺伝子発現をリアルタイムPCR法により確認している。

特許庁における審査では、主引例に、有効成分としてトウキ抽出物(ホッカイトウキとの明示はない)等を含有することを特徴とする皮膚弾力増進用化粧料組成物が記載され、そのコラーゲン生成促進効果が示されていたため、コラーゲン産生促進に関する補正前の請求項1は、新規性が無いと判断された。

これに対して、補正により、主引例の請求項1に記載された組成物を除く補正を行い、新規性を確保したうえで、起源植物をトウキとする市販のトウキエキスと、本願発明に係るホッカイトウキ抽出物とを比較する追試を行い、顕著な効果を実証することで、進歩性も有することを主張して権利化に至っている。

本件のように、新規性・進歩性の観点から、引用文献において示された素材との効果の違いを主張したい場合、拒絶理由通知への応答時に追試結果を提出することは有効な方策である。

―以下、続きは月刊『食品と開発』5月号にてご覧ください。
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