(一社)全国大麻商工業協議会(全麻協、東京都渋谷区、代表理事:須藤晃通)は、CBN(カンナビノール)含有製品の安全な利用と市場の透明性向上を目指し、2025年6月に「CBN含有食品ガイドライン」(6月6日発表)と「CBN製品の責任ある取り扱いに関する共同自主規制宣言」(6月20日発表)を相次いで公表した。これらの取り組みは、カンナビノイド業界の自主基準を明確化し、消費者保護と業界の持続的成長を目的とするもので、業界内外から注目を集めている。
6月6日に発表された「【附則】CBN含有食品ガイドライン」は、CBN製品の適正な流通と利用を促進するための詳細な基準を定めたものだ。全麻協が策定したこのガイドラインは、既存の「カンナビノイド含有食品に関するガイドライン」の附則として位置づけられ、特にCBNに焦点を当てた実務的な指針を示す。ガイドラインの主な内容は以下の通り:
①リスク認識:CBNの科学的知見が不足している現状を踏まえ、個人差やアルコール・薬剤との併用リスク、妊娠・授乳中の利用制限を強調。
②使用方法:少量からの摂取開始、ピーク作用(摂取後1~3時間)の考慮、運転や危険作業前の使用禁止を推奨。
③販売制限:20歳未満への提供禁止、強要やハラスメント行為の厳禁。
④運用:科学的知見や法改正に応じた改訂、事故報告体制の整備を事業者に求める。
全麻協は、CBNの長期的な影響や摂取基準に関するエビデンスが不足していることを認め、消費者一人ひとりが自身の状況に応じて適切に判断できる環境整備を目指す。これにより、業界の自主的な予防措置を通じて消費者保護と市場の信頼性を高める方針だ。
6月20日には、全麻協がオール・カンナビノイド、日本カナビス産業協会、日本カンナビジオール協会、日本カンナビノイド協会、日本ヘンプ協会の5団体と連携し、「CBN製品の責任ある取り扱いに関する共同自主規制宣言」を発表。Green Trade Japan株式会社、Rising Sun Exports LLC、アストラサナ・ジャパン株式会社の3社が賛同企業として名を連ね、業界初の共同声明として話題を呼んでいる。
この宣言は、CBN製品の誤認や不適切な使用を防ぎ、正しい知識と責任ある販売体制を確立することを目的とする。主な内容は以下の5点:
1.正確な情報提供:CBN含有量や摂取目安、原材料などの明確な表示。
2.消費者への注意喚起:小児や妊娠中の方への使用制限、運転時の注意を明示。
3. 製品設計:小分け包装や目安量の提示で過剰摂取を防止。
4. 販売体制:不特定多数向けイベントでの販売自粛、節度ある表現の徹底。
5. サプライチェーン連携:卸・小売のパートナーと協力し、宣言の趣旨を共有。
宣言はCBNの医療的効能を標榜せず、あくまで食品としての安全な取り扱いに焦点を当てる。ガイドラインの詳細な基準を補完し、業界全体の行動指針として簡潔にまとめられた点が特徴だ。
この全麻協の2つの取り組みは、急速に拡大するカンナビノイド市場において、自主規制による信頼性向上の必要性を示している。ガイドラインは具体的な運用基準を提示し、宣言は複数団体の連携による業界全体のコミットメントを強調。両者は補完関係にあり、消費者保護と市場の健全化を両立させる戦略といえる。
業界関係者によれば、「これまで曖昧だったCBN製品の取り扱い基準が明確化され、事業者間の足並みが揃うきっかけになる」と評価。一方で、科学的知見の不足や法規制の動向が今後の課題として浮上している。全麻協は、事業者向け研修や消費者啓発、行政との連携を通じて、引き続き業界の透明性と信頼性向上に取り組む方針だ。












