(一社)日本食品添加物協会は、6日に第48回「食品添加物メディアフォーラム」を開催。愛知大学 地域政策学部 食農環境コース 山口治子教授を講師に招き、「食品添加物の情報ニーズに応じたリスクベネフィットコミュニケーションの効果 ~科学的知見と消費者の情報ニーズをつなぐ~」と題して講演した。
消費者の不安や懸念内容に寄り添うだけでなく、それぞれの理解度に配慮した情報発信が重要

山口教授は、保存料を対象とした食品添加物に関するリスク・ベネフィット・コミュニケーション効果に関する調査内容を紹介。今年10月に30代・40代女性を対象として実施されたもので、不安要因に応じたリスクベネフィット情報が「リスク認知」「ベネフィット認知」「リスク受容性」「情報処理」にどのように影響するか、また「事前の理解度」によって違いがあるかを調べた。
その結果、情報提供により被験者のリスク認知は減少。ベネフィット認知、リスク受容性は有意に増加することが認められた。また不安要因に応じたリスクベネフィット情報は、リスク認知・ベネフィット認知・リスク受容性・情報処理いずれにおいても影響せず、不安感を払拭するだけでは、情報としては“不十分”であることが示唆された。同様の調査はゲノム編集食品、メチル水銀においても行われたが、この結果は保存料特有という。
一方情報処理においては事前の理解度による有意差が見られ、理解度が低い人にどれだけ情報を与えても、先入観や経験に基づいたレベル(ヒューリスティック)に留まる傾向にあった。
食品安全のリスクを消費者に伝える上で重要なのは、「消費者の不安や懸念内容よりも理解度に配慮すること」であると山口教授は強調。リスク情報だけでなくベネフィット情報も理解度に合わせて提供し、自分事として捉えてもらえるよう工夫すること、そして消費者の理解度をあげるため、リスクリテラシー向上を社会全体で推進することが必要不可欠であると締めくくった。












