欧州最大の食品素材展「Fi Europe」が12月2日~4日フランス・パリにて開催され、3日間で2万3000人超(速報値)が来場した。パリでの開催は7年ぶりとなる。会場も前回までとは変わり、より市内中心地に近いParis Expo Porte de Versailles展示会場で行われた。
1986年に第1回が開催されて以来、Fi Europeは世界中の食品・飲料素材・原料メーカーにとって確固たる販売・マーケットルートとして重視され、30回目の今年は、70ヶ国以上から約1470社が出展した。
主な出展品目は、乳、卵、穀物、果実、野菜、香辛料などの原料系と甘味料、乳化剤、ゲル化・増粘安定剤、調味料、色素、フレーバーなどの食品添加物。また、これまでと同様にオーガニック原料やナチュラル原料も多数出展されていた。



プロテイン、コラーゲン素材に熱視線・新トピックスは藻類素材
ここ数年高まっている機能性素材の存在感は今年も更に高まっている。特に、プロテインとコラーゲンの出展数が非常に多く、使用原料や機能性の違いなどのバラエティに富んだ展示がされていた。なかでもプロテインはここ数年、プラントベース食品のブームから植物性のプロテインの人気が比較的高いように思えたが、今年はホエイプロテインも人気のようで多数の企業が出展していた。
プロテイン・コラーゲンとは別に注目を集めていたのが藻類素材である。新食糧資源は食品産業において重要なテーマであるが、少し前まであった昆虫原料から藻類素材へシフトをしているように感じた。ただ、クロレラとはっきり明記している企業もあったが、一方で、多くの関連企業は「藻類」表記に留まり、来場者もまだ新しい原料としての認知の段階という印象だ。
伸長する機能性食品ニーズ・オメガ3ブームは一巡か
またFi Europeは食品原料の展示会ではあるが、サプリメントのカプセルやグミをターゲットにしたゲル化剤なども出展が多く、ゼラチン以外にも植物性のカラギナンも多く出展されていたり、特殊なデンプンでカプセルの乾燥時間を早めるといった技術が紹介されていたりと、ヨーロッパの食品市場においても、機能性食品製造の需要が増えていることを感じた。
機能性食品をターゲットにした人気の効能は、消化の促進や腸活を目的とした素材で、いわゆるプロバイオティクスやプレバイオティクス、発酵素材は多数出展されていた。一方で、ここ数年大変人気だったオメガ3の存在感は、これまでほどはなくなったように思った。
日本企業も複数出展・現地アワードへのノミネートも
今回残念ながらジャパンパビリオンの設置はなかったものの、日本企業も複数出展。阿部養庵堂薬品、茶ごと、ファーメランタ株式会社、富士食品工業、ハナマルキ、日本生物.科学研究所、かどや製油、キミカの8社のほか、三菱商事ライフサイエンス、味の素、天野エンザイム、長瀬産業、キッコーマン、不二製油などが現地法人経由で展示を行い、製品や技術力をアピールした。各社ブースは多くの来場者で賑わっており、欧州における日本製品・技術の関心度の高まりを感じさせた。
現地アワードへの選出も相次ぎ、 味の素の酵素素材「ACTIVA® DA」がDairy Alternative Innovation Awardに、天野エンザイムの植物由来飲料向けプラットフォーム「Plants Unlimited」がFuture Foodtech Innovation Awardにそれぞれノミネートされた。
次回Fi Europeは、2026年11月17~19日にドイツフランクフルトで開催予定。




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