食の安全や原料高などを背景に、より高い品質管理が食用油にも求められている。油をフライで使用していると化学反応により、遊離脂肪酸や酸化分解生成物、ジグリセリドなど、油の劣化要因となる物質が生成される。これらを総称して極性化合物(TPM、単位:%)と呼ぶ。油の劣化指標としては、欧州をはじめ世界的に見てもその多くが極性化合物量を用いているが、日本における劣化指標は酸価(AV値)が依然として用いられている。しかし酸価試験紙で確認できるのは、加水分解によって生じる遊離脂肪酸(AV値)のみであり、その他の劣化要因は把握できない。
〇人による曖昧な判断に頼ることなく的確な交換時期の設定が可能なデジタル食用油テスター「testo 270 BT」
テストーは、油の劣化度の「見える化」を実現するデジタル食用油テスターを紹介している。デジタル食用油テスター「testo270 BT」は、油の劣化度を極性化合物(TPM、単位: %)により数値化することで、目視や匂いといった曖昧な判断に頼ることなくフライ油の交換基準を的確に設定することができる。本体ディスプレイに表示される数値(%)と色の変化により、誰でも容易に油の交換時期を判断できる。視認性の高さに加え、幅広い環境での使用を想定したセンサ部の高い堅牢性と洗浄性が特長のほか、本体形状はT字型となっており、フライヤーに入れた状態での確認も容易に行える。40~190℃で測定が可能なため油の温度が下がるのを待つ必要がない。センサ部は水洗いが可能な防水仕様。モバイルアプリ testo Smart の接続により、測定値のデジタル化ができ、ペーパーレスも実現可能となっている。
〇品質向上とコスト削減の両立で大手フードチェーンを中心に実績拡大
デジタル食用油テスターの導入先であるサガミホールディングス(以下、サガミHD)は、「和⾷麺処サガミ」や「味の⺠芸」など全14 の業態ブランドを有するレストランチェーン。サガミHD では、各店舗の運営状況を調査している際、同じメニューで同等の売上を持つ複数の店舗において、油の廃棄回数にばらつきがあることに気がついており、標準化が課題であった。それまで各店舗ではAV試験紙を使⽤して閉店後に毎⽇油の測定を⾏っていた。しかし、試験紙は油に浸した際の⾊の変化で判断するため、計測者によって⽬視による判断のばらつきが⽣じていた可能性があった。その中で浮上したのがフライ油の劣化度を数値化できる食用油テスター「testo 270」だった。
まず着手したのが、TPMの管理基準値の設定だった。サガミHDでは評価用としてtesto 270を導入し、さまざまな条件下でTPM値の異なる油を使⽤して揚げ物を調理し、官能評価を実施。各店舗で提供している主なメニューは天ぷらや⼿⽻先であり、TPM が24∼25%* に達すると油の使⽤によって食味が重くなるため 、TPM19% が管理基準として適切という評価となった。この管理基準の決定により本格的な運用がスタートした。現在までにグループ全200 店舗にtesto 270が導入されている。
導入の後押しとなったのが、誰もが簡単に測定できる操作性と視認性の高さだったという。testo 270はフライ油の劣化度を数値で確認できるだけでなく、測定値に応じてフライ油の状態を3⾊(緑・オレンジ・⾚)で表すことができる(写真)。各店舗では、緑= 18% 未満/オレンジ= 18∼19%/ ⾚= 19% 以上と設定し運用している。
導入後、店舗の運営状況を再調査した結果、各店舗でのフライ油の廃棄回数が安定し、当初の⽬的であった「標準化」を達成したことが確認された。これにより、各店舗で提供する揚げ物の⾷味を⼀定に保つことが可能となり、さらにフライ油のコスト削減も実現した。この取り組みは、同社にとって⼤きなメリットとなった。
その他にも食用油テスター testo 270は、コスト削減と高効率な品質安定を求める大手フードチェーンやスーパーの惣菜部門などでも引き合いを伸ばしている。
* TPM値の法規制/ガイドラインが存在する国での⼀般的なTPM限界値は24∼25%。














