農林水産省は、6月に公布・施行された「食料システム法」に基づく新たな官民連携プラットフォーム「食料システムサステナビリティ課題解決プラットフォーム(以下、食サス)」を設立。オープニングイベントを7月14日に開催した。イベント内ではサステナビリティ課題対応の重要性と、食サスを通じて官民や民間同士の連携を促進し、個社では難しい課題にも取り組んでいきたい意向が示された。
食サスは2022年8月に立ち上げられた「フードサプライチェーン官民連携プラットフォーム(FSPPP)」を前身に持つ。食品等の持続的な供給を考える上での要石としてサステナビリティ課題を掘り下げ、官民がより緊密に連携し検討を行うことを趣旨とする。対象とするのは、生産、加工、流通、小売、消費と食品業界全段階の関係者。組織構成としては、環境・人権検討会と栄養検討会に大別される。
求められる関連法令への対応
関連法令への対応からも、サステナビリティ課題への対応は企業経営において待ったなしの状況だ。
食料システム法では、食品産業の持続的な発展に向けた「計画認定制度」と「価格形成に向けた食品等の取引の適正化」に関する措置が講じられている。このうち今年10月より開始予定の計画認定制度では、農林水産大臣の認定を受けた所定の事業活動計画について融資等の各種支援措置を受けることができるとある。事業計画には4つの必須項目が設けられており、その一つが「環境負荷低減事業活動」だ。例としては温室効果ガスや食品ロスの削減、環境負荷の少ない再生可能エネルギーなどの利用、省エネ設備導入などが挙げられている。
また今年3月に一部改正された「食品リサイクル法」では、食品ロス削減の取り組み促進のため、まだ食べられる未利用食品のフードバンク等への寄付、および、その寄付量、食品廃棄物等の発生量、食品循環資源の再生利用等の状況を有価証券報告書やインターネット等で提供することが努力義務として定められた。同時に、こうした取り組みを適正評価する仕組みについても検討が始まっている。
そのほかプラスチック製品全体の四分の一超を占める食品用容器包装のリサイクル率の低さ、二酸化炭素排出量ゼロに向けたカーボンニュートラルやGX推進、将来的に予定されている排出量取引制度など多くの関連政策についても言及し、国を挙げてサステナビリティ課題に取り組む方針が強く打ち出された。
近年は商取引や資金調達時の評価の一つとしてもその取り組み状況を見られるようになっており、ステークホルダー等からも一層積極的な対応が求められている。一方で特に中小企業において、サステナビリティ課題への対応は決して容易なことではない。食サス設立をきっかけに、さらなる支援拡充を期待したい。
※この記事の詳細について、「月刊 食品と開発」9月号内でも掲載を予定しています。(9月1日発売)
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