1948年創業の第三者検査機関である(一財)新日本検定協会(東京都港区、以下、SK)は、輸出入貿易に関する様々な鑑定、検査、分析、証明を行っており、なかでも食品部門は食品衛生法に基づく衛生検査等を行う厚生労働大臣登録検査機関として、輸出入食品等の分析業務を担い、横浜、大阪の2か所に食品分析ラボを保有。この輸出入食品の検査・分析で培った技術基盤を活用し、Δ9-THCおよび、THCAの定量分析サービスに乗り出す。
SKは今年、麻薬研究者免許を取得し、5月には分析に必要なTHC・THCA標準物質の入手も完了。現在、分析メソッドのバリデーションを進めている。食品衛生法登録検査機関として保有する多数のLC-MS/MSを転用できるため、機材面の追加投資は不要という。
ただし、高濃度CBD原末やアイソレート中に含まれる微量THCの測定は、カラム選定など特別な工夫を要し、「食品より難易度が高い」と同協会は分析する。厚労省が示す食品向けガイドラインだけでは対処できず、独自の測定技術を確立中だ。
受託開始は9月を目標とし、初期フェーズでは食品を中心に検査を受け付け、原末・オイルへ段階的に対象を広げる方針。
SKは20年来技術提携する中国・寧波海関技術センターと協力し、現地にて中国国内産CBD原料の事前検査サービスを既に開始。THCに加え、CBN・CBGなど多様なカンナビノイドにも対応する体制を構築している。
同協会食品営業グループ長の中島昭氏は(一社)カンナビノイド検査機関連絡協議会(CTLLC)の理事として、実態調査及びラウンドロビン試験やトレーサビリティシステムの構築を進めており、「検査結果の再現性と透明性が業界成熟の鍵」と語る。
国内で信頼性の高いTHC検査網が整えば、海外機関との価格・品質競争が適正化され、大手食品・素材メーカーの参入を後押しすると見られる。SKは「分析データの客観性が市場拡大の前提」とコメントする。












