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【ZOOM UP】鮫肝油 新規漁場の捕獲量増え、供給安定期に

肝油は、“馴染ある伝統素材”として高齢者に抜群の認知を誇り、安定した市場を形成する。末端製品は「免疫サポート」を訴求ポイントに10年、20年とロングラン製品が多い。また、インバウンド特需は落ち着いたものの、「エイジングケア」「内外美容」を切り口に新たな顧客層の開拓も進む。一方、ヨーロッパを中心に環境保護の観点から鮫の漁獲規制が強化され、近年、原料確保に対する不安要素があったが、原料サプライヤーによる新規漁場の開拓が進み、鮫捕獲量が増加。安定供給できる状況に戻った。


鮫肝油、輸入量は増加
原料サプライヤー、安全性・品質に注力

鮫肝油から抽出・精製した「スクワレン」は健食向け原料として、スクワレンに水素添加させた「スクワラン」は化粧品向け原料として利用されている。原材料となる鮫肝油は、その多くを海外から調達している。昨年の輸入量は約2,100t。ここ数年、欧州をはじめとした鮫の漁獲規制などから輸入量が1,000t前半台だったが、アフリカ、東南アジアなど、原料サプライヤーによる新たな漁場の開拓が実り、鮫の捕獲量が増えた。原料サプライヤー各社の在庫に対する不安要素は払しょくされ、大手原料サプライヤーの岸本特殊肝油工業所は、「ある程度余裕を持ちながら動かすことができる状況にある」と話す。現在の原料相場はキロ当たり、スクワレンが4,000円台から6000台円。スクワラン3,000円後半から4,000円後半。輸入量は増えているものの、世界中で自国領域での資源保護の動きが強まっていることに加え、発展途上国の経済・生活力向上し、漁師の賃金水準も上がっていることなどから価格がすぐに下がることはないという見方が強い。

各社、引き続き、新規漁場の開拓を進めるほか、フィルタリング強化や、海中汚染による水銀などの重金属、残留農薬の自社基準を設けるなど、安全性、品質管理体制を徹底して取り組む。国内では、沖縄近海、静岡駿河湾などで捕獲した深海鮫の鮫肝油がある。沖縄に拠点を置くスクワラン本舗では、“沖縄産鮫肝油”を差別化に原料・OEM供給を展開する。

体感・安心感で高齢者に圧倒的支持
中高年女性の開拓も進む

市場では、スクワレンやスクワレン以外の特定な有用成分を抽出・精製してより純度を高めた原料と、スクワレンのみならず肝油に含まれるその他の有用成分(アルコキシグリセロール、ビタミンA、ビタミンD、DHA・EPAなど)を生かした製造法による原料と、その製造法によって大きく 2 つの原料が流通。それに伴い、末端製品も高純度タイプ品と生肝油タイプがあり、前者は2,000円から5,000円前後、後者は 1 万円から 3 万円前後の価格帯で流通する。ソフトカプセルの剤型が多くを占めるほか、加工技術の向上によりゼリー製品もある。末端製品の主な訴求点は、免疫力増強、細胞活性化、肝機能改善など。通販メーカーのエバーライフ、えがお、薬系メーカーのオリヒロなどロングラン製品が多く、鮫肝油関連商品は、高齢者を中心にリピーター客が根付いている。

10年以上の販売実績を持つケニングコーポレーションは、サプリメント『鮫生肝油エキス 深海力』を百貨店、薬局・薬店ルートなどで展開。自社製品を用いた臨床試験で末梢の血液循環改善作用を確認している。体感性、エビデンスデータが評価され、新規の卸販売先も増え、前年比を超える売上高を達成した。

また鮫肝油は、中国観光客による爆買いの対象品の 1 つだったことから、メディアで取り挙げられる機会が増加。こうしたなか、国内市場の活性化を図るべく、「新しい顧客層の獲得に力を入れている」「エイジングケア、内外美容をコンセプトに中高年女性への提案を強化する」といった動きもみられる。


マメ知識:スクワレン・スクワラン、生みの親は日本人

健康食品として30年以上の歴史を誇る・鮫肝油。水深300~1,000mの深海で光が届かず酸素も少ない環境下に生息する深海鮫の肝臓にはスクワレンをはじめさまざまな有用成分が含まれている。もともと、深海鮫の肝油に含まれるスクワレンを発見したのは日本人で、今から100年以上前の1906年に辻本満丸氏によって発見、命名された。その後、酸化・変質しやすい性質をもつスクワレンに水素を添加すると分子構造が安定し、完全な飽和オイル(スクワラン)になることがわかり、化粧品のベースオイルとして広く使用されるようになった。

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